広告単価の上昇や新チャネルの台頭により、
広告予算の配分判断はこれまで以上に難易度が高まっています。
本調査では、広告・マーケティング従事者168名を対象に、
各社の予算方針とチャネル戦略について実態を収集しました。
予算の増加・削減の方針や、各チャネル戦略の実態に加え、それぞれの判断の背景まで踏み込んで収集。
競合他社が「どこに投資し、どこを見直しているのか」を把握することで、
自社の予算配分や投資判断の比較材料として活用いただけます。
今期の意思決定に向けた基礎データとして、ぜひご参照ください。
①調査概要 ―誰が答えた?回答者の属性
本調査は、広告・マーケティング実務に関わる168名を対象に実施しました。
回答者の立場は、事業会社が57%(96名)、広告代理店が43%(72名)と、現場の意思決定者・担当者を中心に幅広く回収できた構成となってます。
業態別では、toB(法人向け)が最多の61%(102名)を占め、toC(個人向け)が29%(49名)、両方と回答した層が8%(14名)と続きます。

BtoB企業のマーケティング担当者が多く回答していることから、本調査の結果はとくにBtoB領域のトレンドを色濃く反映していると言えます。
②マーケティング予算に関する実態 ―「現状維持」が最多、ただし二極化の兆しも
「今期の予算、前期と比べてどう変わりましたか?」
増加傾向(「大幅に増加」5%+「やや増加」19%)を合算すると24%が予算を積み増ししており、減少傾向(「やや減少」14%+「大幅に減少」5%)の合計19%をわずかに上回っています。
つまり、「守る企業」より「攻める企業」のほうが、わずかながら多い——というのが今期の実態です。
そして、最多数回答となったのが、「現状維持」の42%(70名)でした。
一件”変化がない”ともとれる回答結果ですが、広告単価は上昇傾向にあり、人件費・制作コストも年々高まっています。そうした環境下では、予算額が「同じ」でも、実質的に買えるリーチや制作量は減っている——つまり「現状維持=実質縮小」という側面があることも見逃せません。
だからこそ、同じ予算でいかに効率よく成果を出すか。
次章から、「チャネルの選び直し」としての具体的な動きを見ていきましょう。
③新規導入・増額チャネルの傾向 ―SNS広告とリスティングが依然強く、動画・DX系が台頭
予算を「増額」または「新規導入」する可能性のあるチャネルとして最多票を集めたのは、【SNS広告】の64票。次いでリスティング広告(40票)、オフライン施策(33票)と続いています。

しかし今回、チャネル名の票数だけでなく、「なぜそのチャネルに投資するのか」という理由も自由回答で収集した結果見えてきたのは、単なるチャネル人気ランキングではない、現場担当者たちのリアルな課題意識でした。
SNS広告が首位であり続ける理由—「新規獲得への渇望」が予算を動かす
SNS広告の強さは今に始まった話ではありませんが、
その背景にある理由を自由回答で見ると、「新規ユーザーを増加させたい」「若年層・新規層の獲得のため」「新たな流入経路を確保するため」といった声が目立ちました。
「新規を取り続けないと、売り上げが伸びない」
自由回答に寄せられたこの一言が、SNS広告への投資意欲を端的に表しています。
既存顧客だけでは成長の天井が見えてくる—だからこそ、まだ自社と接点のない層にリーチできるSNS広告に、予算が集まり続けているのです。
加えて「ユーザーのタッチポイントを増やしたい」「フルファネルで考える必要性が増えた」という回答も複数見られ、SNS広告が認知から刈り取りまでの複数の接点で活用できる媒体となっていることを示しています。
toBとtoCで明確に分かれた「動画戦略」—YouTubeはむしろBtoB向け?
動画系チャネルへの投資意欲は全体的に高まっているようです。ただ、業態によって温度差が出ています。
インストリーム動画広告(YouTube)はtoB10票に対し、toCはわずか2票。
一見意外にも感じますが、toBにとってYouTubeは製品説明・事例紹介・セミナーアーカイブなど「検討中の見込み客に深く訴求する」コンテンツとの相性が抜群です。
「認知施策を実行するため」「フルファネルで考える必要性が増えた」という声と合わせると、toBにおける動画活用は認知より検討促進フェーズでの活用が中心になっていることがわかります。
一方、ショート動画広告はtoB12票・toC8票と差は小さい。「ショート動画(リール動画)の制作と検証のため」という回答が示すように、業態を問わずまず試してみる段階にある企業が多い。
toB企業が圧倒的に重視する「SEO・LLMO」と「DX化」
増額チャネルの差分で最も業態差が大きかったのが、メディア運営(SEO・LLMO施策)(toB18票・toC6票、差+12)とDX化施策(AI活用)(toB12票・toC3票、差+9)でした。
この結果はtoBにおける購買プロセスの長さや複数社を比較検討する際の検討フローの違い・変化が読み取れます。昨今の検索構造の変化によるAIO・LLMO対策の重要度の高まりがうかがえます。
また、DX化に特化した内容では、「人時生産性をあげたいため」といた回答も寄せられました。
「マーケティングが高度化しているため生成AIの活用が必須となっている」
AIはもはや「便利ツール」ではなく、マーケティング成果の責任を果たすための必須インフラとして予算化され始めている——そんな変化の兆しが、この数字と声から読み取れます。
④撤退・縮小チャネルの傾向
予算を「縮小」または「施策中断」する可能性のあるチャネルとして最多だったのは、【オフライン施策】の39票(マス広告・チラシ・DM・リアル展示会など)。次いでリスティング広告(31票)、ディスプレイ広告・アドネットワーク(24票)となった。

今回はチャネル名に加え、「なぜ削るのか」という理由も自由回答で収集しました。そこから見えてきたのは、「なんとなく古いから」ではない、現場の切実な判断根拠です。
オフラインが削られ続ける、その構造的な理由
オフライン施策への撤退票が最多となった背景について、自由回答には率直な声が並びました。
「チラシの費用対効果が不透明な点と、会社方針としてオンライン接点を増やすという狙いがあるため」
「マス広告の効果が限定的になってきたと感じるため」
「出版物・原価高騰のため」
「効果がわからない」「コストが上がっている」「会社としてデジタルにシフトする」——この3つが重なったとき、オフライン予算は削られやすい。特にBtoB企業からは「業態とそぐわないのではないか」という根本的な疑問も寄せられており、そもそもオフライン施策の位置づけを見直す動きが出てきていることがわかります。
ただし、前章の増額候補でもオフライン施策が33票で3位に入っていた点は見逃せません。「切る企業」と「むしろ増やす企業」が混在しており、オフラインへの評価は業種・商材・活用目的によって大きく分かれているのが実態です。
「リスティング広告問題」は業界共通の悩みか
縮小候補の2位に入ったリスティング広告(31票)についても、自由回答には具体的な声が集まりました。
「リスティングの広告効果が下がっているから」
「ディスプレイ広告では効果が一次的かつ実際のユーザー行動に与える影響が懐疑的、SEOではAIOによって以前よりも増して投資するメリットが薄くなった」
「ユーザーのAI検索行動」
ここに、業界全体で議論されている構造的な変化が凝縮されています。GoogleのAI概要(AIオーバービュー)の普及により、検索結果の上位に表示されていてもクリックされにくくなるケースが増えており、「費用は上がるのに、流入は減る」というジレンマを抱える企業が増えています。
一方で、リスティングは増額候補でも40票で2位に入っており、「削りたい人」と「まだ戦える人」が真っ二つに割れているチャネルでもあります。その差を生んでいるのは、業種・競合環境・運用の質など、個社の事情が大きく影響しているのかもしれません。
DX化施策の縮小票はtoB・toC合わせてわずか1票
最後に、印象的な数字を一つ。
DX化施策(AI活用)の縮小・撤退票は、toB1票・toC0票と全チャネル中最少。
増額候補ではtoB12票・toC3票を集めており、「削れない予算」として別格の扱いを受けていることがデータからも明確に読み取れます。
縮小の理由を俯瞰してみると、業界全体に共通する、
「費用対効果が見えないチャネルを手放し、本当に効く打ち手に集中する」という判断基準が見えてきます。
toBとtoCで少しずつ違いながらも、同じ方向を向いている結果が見えてきます。
⑤ まとめ
——戦略は「再設計」の時代へ
今回の調査から見えてきたのは、予算額が大きく変わらない中でも、配分は確実に変化しているという実態です。
効果の見えにくい施策は見直され、SNS広告や動画、AIなど成果や成長につながる領域へとシフトが進んでいます。一方で、施策によっては継続か撤退かの見極めフェーズに入っています。
これから問われるのは、「何に投資するか」だけでなく、「何をやめ、どう組み替えるか」。
他社のリアルな動向をヒントに、自社にとって最適な一手を見極めることが、今期の成果を左右します。
メディアレーダーでは、今後もこうした最新の実態調査はもちろん、読者の皆さまの日々の業務をより良くし、インスピレーションを刺激する「あらゆる有益な情報」をまとめて配信していきます。
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