本記事では、筆者が日常で見つけた中から特に印象に残った「街中の面白い広告」を5つ紹介します。
通勤電車やコンビニの店頭、路上のちょっとしたスペースなど、生活動線のいたるところに仕掛けられた広告たち。
メッセージや媒体の選び方を工夫することで、思わず足を止めてしまう体験が生まれます。
どのようなアイデアが面白さや話題化につながっているのかを見ながら、今後のプランニングや企画立案のヒントとしてご覧ください。
ロート製薬デジアイ「幸せのための習慣電車」 電車ジャック広告

まず目に入るのは、中づりビジョンの「30分の読書ではなく、カラオケアプリで歌う」というキャッチコピー。
東急東横線の車内をジャックする形で展開されていた、ロートデジアイPCの電車ジャック広告です。

車内のまど上ポスターには「白湯を飲むよりも。朝までドラマ 一気見。」「日記を書くじゃなくて、推しのSNS見まくる。」など。
自己啓発系コンテンツでよく語られる習慣ではなく、自分にとっての本当の幸せの習慣が大きく掲出されています。

一方で、ドア横ポスターには「瞳、チートモード。」のコピーとともに、デジタルコンテンツを全力で楽しむビジュアルが描かれています。
「デジタルを楽しむ瞳は疲れやすい環境にあるから」というメッセージと、ダメージケアを訴える商品パッケージが強く印象に残ります。
ストイックな健康習慣を勧めるのではなく、「好きなコンテンツは我慢せず楽しもう。その代わり、瞳のケアはしっかり行おう」というスタンスがユニークです。
参考:ロートデジアイ
ゴリラクリニック×SHIBUYA WILD POSTING

渋谷川沿いの壁面に展開されていた、「ゴリラクリニック 」のポスター群です。
今回起用されているのは、東京2020オリンピック金メダリストであり、日本のスケートボードシーン・エクストリームスポーツシーンを象徴する堀米雄斗選手。
男性専門の総合美容クリニックであるゴリラクリニックは、堀米選手の「観客を魅了する技と姿で勝負するスケートボードを極める姿」と、「男性が自身を磨くために美容へ取り組む姿勢」に共通する美学を感じ、アンバサダーに起用しました。

ポスター掲出場所となった渋谷リバーサイド沿いに続く長い壁面は、渋谷駅〜代官山・恵比寿方面を繋いでいます。
そのエリアはグラフィティ文化の名残があったり、スケーターや若いクリエイターが日常的に通る動線のため、ポスタージャックによる世界観演出と相性が非常に良くにとって最適なロケーションといえます。
HESTA CHARGE スマホ充電スタンド サイネージ

渋谷ヒカリエ施設内の一角に設置されていた、モバイルバッテリーレンタルサービス「HESTA CHARGE」のデジタルサイネージです。
上部に縦型ディスプレイが配置され、レンタル方法や値段が表示されています。
サイネージ面は自社サービスだけではなく、館内テナントのイベントの告知に使われたり、他サービスの広告としても使われます。
「モバイルバッテリー×広告」の組み合わせは、今後もさまざまな形で拡張が期待される領域です。
『Red Bull BC One World Final Tokyo』 × 『ストリートファイター』 セブンイレブン店頭ラッピング

渋谷のセブンイレブンの大きな窓一面を使った、『Red Bull BC One World Final Tokyo 』の店頭ラッピングです。
ブレイキンは、昨年のパリ五輪でも正式競技として採用され話題になった、ストリートカルチャー発祥のダンスです。
そのブレイキンの世界大会「Red Bull BC One」のロゴと、同じく「ストリート」を舞台にした大人気格闘ゲーム『ストリートファイター』のリュウが巨大に描かれ「最強は、ストリートからしか生まれない。」というコピーが力強く配置されています。
店舗のガラス面をフルに活用したビジュアルは、遠目からでもイベントのスケール感を一気に伝えてくれます。
渋谷は言わずとしれたストリートカルチャーの象徴的な街ですが、渋谷パルコには「CAPCOM STORE TOKYO」があり、近年は同時に株式会社Cygamesや株式会社DeNAなどのゲーム会社が多く集まる街になっています。
ストリートとゲーム、その両方の文化を持つ今回のコラボを発信する場として、渋谷というロケーションはまさに最適だったといえます。
ビジュアルの迫力がそのままダイレクトに伝わるため、ゲームとストリートダンスの双方に興味を持つ層へ強くアピールできる店頭ラッピング広告の例と言えます。
「クライナーファイグリング」×「地上機器ラッピング広告」

六本木交差点付近の路上で見かけた、「クライナーファイグリング」の地上機器ラッピング広告です。
「地上機器ラッピング広告」とは無電柱化が進んだエリアで新しく生まれた、電柱広告に代わるOOH広告メニューの一つです。
地上機器は電力ケーブル、通信ケーブル、上下水道、ガス管、変圧器などの制御や保安用に設置されているボックス型の設備で、メンテナンス車両が横付けしやすいよう、街中の歩道の脇や交差点付近などに多く設置されています。
そのため、メディアとしての特徴は地上機器が歩道の端や交差点付近など、人通りの多い「止まる・曲がる」ポイントに設置されており、日常の導線に自然に入り込みやすく、街の景観を損なわずに広告を届けられるのが特徴です。
「クライナーファイグリング」は多用なフレーバーで甘くフルーティーな味付けがされたショット系リキュールで可愛らしいその見た目から若い女性に大人気のパーティドリンクです。
今回の六本木というロケーションはクラブやバー、飲食店が集中しており、ショット系リキュールとの相性の良いエリア。
起用されているのは起用されているのは佐藤ノアさんで、ガールズバンド「suga/es(シュガレス)」の元ボーカルでモデルや美容系インフルエンサー などマルチに活動されている方です。
SNSを中心に若年層から高い支持を集めるインフルエンサーのでファッション・音楽・ライフスタイルなどの発信力が強く、六本木のナイトシーンとも親和性が高いことから、クライナーファイグリングの世界観と自然にマッチするキャスティングとなっています。
地上機器ラッピング広告はまだまだ「津波避難情報」「路上喫煙禁止地区表示」など公共利用事例が多いですが、設置数も多く、バスやタクシー・徒歩のいずれにもリーチできるため、今後、新しい広告媒体としての発展が期待されています。
まとめ
今回紹介した事例はいずれも、生活動線の中で「状況やターゲットの気持ち」に寄り添いながらメッセージを届けている点が共通していました。
電車ジャックやポスタージャック、店頭ラッピング、レンタルバッテリー体型サイネージ、地上機器ラッピング広告と、媒体の形はさまざまですが、いずれも「目の前のシーンにぴったりなコピーやビジュアルを置く」ことで、ブランドの世界観を強く印象づけています。
広告代理店としては、媒体メニュー単体ではなく、街の風景や生活者の行動とセットでプランニングする視点が重要になりそうです。
日常のなかでふと出会うプロモーションに目を凝らすことで、新たな企画のヒントが見つかるかもしれません。
写真・文:筆者(すべて現地撮影)
※掲載画像に関する権利は各企業・団体に帰属します。

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