TikTok広告 vs YouTube広告、今の状況に適しているのは?
動画広告市場が急速に拡大する中、TikTok広告とYouTube広告は企業のマーケティング戦略において欠かせない存在となっています。
しかし、「どちらのプラットフォームを選ぶべきか?」「それぞれの特性をどう活かせばよいか?」と悩むマーケターや広告代理店の営業・プランナーの方も多いのではないでしょうか。
成功事例の分析から見えてきたのは、両プラットフォームの「役割の明確な違い」です。
実際に大きな成果を上げたTikTok広告事例とYouTube広告事例を元に、それぞれの特性と使い分けをまとめました。
WEGOのダイナミック広告からタイミーのAI活用事例まで、具体的な数値データと戦略の裏側を考察します。
■広告のネタ帳とは?
「もうちょっと刺さるアイデアがほしいな……」と思ったとき、世の中の広告を眺めると意外なヒントに出会えるものです。
広告のネタ帳は、そんなときに役立つ『ちょっとした切り口』を広告事例から拾い上げるコラムです。
TikTok for Business 広告事例
まずは、TikTok広告の事例から見ていきましょう。
さらに知りたい方は、下記資料もご確認ください。
事例①:WEGO(ファッション小売)- ダイナミック広告
競合ひしめくファッション業界において、ターゲットの認知・興味・繋がりを獲得することは容易ではありません。
WEGOであってもそれは同様である中で、同社はターゲットの可処分時間におけるTikTokを利用する時間の増加に目を付けたようです。

事例概要

▼ダイナミック広告とは?
ユーザーの閲覧履歴や行動履歴に基づき、個々のユーザーに最適化された広告クリエイティブを自動的に生成・配信する手法。
各ユーザーによって表示されるクリエイティブが異なり、個々人に最適化された広告配信が可能となります。
ただし、データ検証と複数のクリエイティブやテキストの用意が必要です。
成果
同社が取った方法はTikTok広告のダイナミック広告です。
TikTokのダイナミック広告を活用することで、ターゲット毎に最適なクリエイティブを高速で検証できました。
また、同じクリエイティブで配信が続くと、ユーザー側の飽きによる成果摩耗は、みなさん経験があるかと思います。
本手法では、この成果摩耗課題に対しても効果的であり、良質なトラフィックを得ることが出来ます。
結果的に直帰率は-10%、セッション数は1.5倍、CVRに関しては2.1倍という成果創出がなされました。

事例②:I-ne(夜間美容シャンプー「YOLU」) – ハッシュタグターゲティング広告
I-neでは、新商品である夜間美容シャンプー「YOLU」ブランドの広告配信をTikTokにて行いました。
既存の「興味関心ターゲティング」に加えて、リーチの拡大を目的に「ハッシュタグターゲティング」を活用し、パフォーマンスの最大化を狙ったようです。
事例概要

TikTokが提供する13種類のターゲティング機能の一つで、ユーザーの興味や関心のカテゴリーに基づいて広告を配信する手法です。
ユーザーの過去の行動履歴や視聴パターンを分析し、特定の分野に興味を持つユーザーに対して広告表示が可能となっています。
▼興味関心ターゲティングとは?
TikTokが提供する13種類のターゲティング機能の一つで、ユーザーの興味や関心のカテゴリーに基づいて広告を配信する手法です。
ユーザーの過去の行動履歴や視聴パターンを分析し、特定の分野に興味を持つユーザーに対して広告表示が可能となっています。
<興味関心の大カテゴリ例>
・美容/ヘルスケア
・ライフスタイル
・エンターテインメント
・ビジネス/教育
▼ハッシュタグターゲティングとは?
ユーザーが実際にエンゲージした(閲覧・いいね・コメントなど)動画に付与されたハッシュタグに基づいてリーチをする手法です。
ハッシュタグを起点とすることで、興味関心ターゲティングよりも精密なターゲティングが可能となっています。
<ハッシュタグ例>
#トリートメント
#ヘアケア
#ファッション
#アニメ
「YOLU」の事例では、「#トリートメント」「#ヘアケア」「#ヘアオイル」の3つのハッシュタグをターゲティング設定しました。
また、公正にA/Bテストを実施するべく、両ターゲティングともに同じ広告クリエイティブにてパフォーマンスを比較したようです。
成果考察
CTRが+41%リフト、完全視聴率は2.1倍。さらに広告認知、ブランド認知も5%UPし、 結果的にハッシュタグターゲティングにて配信した広告の方が高い成果を発揮しました。
興味関心ターゲティングでは、興味関心度に受動的な意味合いが含まれている場合があります。
一方でハッシュタグターゲティングでは、動画の内容に対する具体的かつ能動的な興味関心を持っているユーザーへリーチ可能であることが本結果より考えられます。

YouTube Works Awards Japan 広告事例
次に、YouTube広告の事例を見ていきましょう。
YouTube Word Awards Japanにて選出された事例となります。
■YouTube Works Awards Japanとは?
一年間で優れたクリエイティビティと高いビジネス成果を両立させたYouTube広告キャンペーンを表彰するアワード。
事例③:日清食品冷凍『麺ジャラス・ラブ』- Best Sales Lift部門
日清食品冷凍は、全国のセブン-イレブンで新発売する「一風堂トムヤムクン豚骨ヌードル」の認知を限られた予算で効率的に獲得する必要がありました。
また、B to B to Cのビジネスモデルでは広告結果が売上に直結しにくいという点も背景にはありそうです。
事例概要

2つのスープ(一風堂とトムヤム)を「一風堂すする君」「トムヤム君」として擬人化したYouTube動画広告です。
「女性の舌を奪い合う味覚の三角関係ラブストーリー」として展開され、3分弱の長尺動画でテレビCMでは表現できない深い商品理解を促進しました。
人気声優のファン層も巻き込んだリーチ拡大戦略で、動画としてのインパクトが商品認知・理解に直結する構造が成功の要因かもしれません。
成果
完全視聴率: 25%以上(3分動画で驚異的な数値)
スキップ率: 50%以上がスキップせずに視聴
売上効果: 30代〜40代女性のセブン-イレブン購入商品シェア第1位

事例④:タイミー(Google AI活用事例)
スキマバイトアプリ「タイミー」は、2023年に事業者自らが無料でアカウント作成できるプラットフォームを開設。
より幅広い事業者(飲食、物流、小売、ホテル、介護など)にサービスを知ってもらい、新規アカウント開設数を効率的に増やすことが急務でした。
事例概要

同社は飲食、物流、小売、ホテル、介護など業種ごとの異なる課題を抽出し、各業種の課題に沿った訴求内容を盛り込んだ専用動画を制作しました。
業種と事業規模の組み合わせで30本以上の動画を出し分け、出稿。
Google AIによる最適化で効果の高い動画に配信を集中していったようです。
成果
配信開始時点でCPAは1/4以下となりました。
また、AIの最適化が進み、約3ヶ月後にはCPAは1/8まで改善しました。
獲得数も期待通りの結果となり、予算増額を決定、その後もキャンペーンを継続的に実施したようです。

それぞれの事例から見えてくる本質とは?
TikTok広告とYouTube広告の事例を踏まえて、両プラットフォームの根本的な性格の違いが見えてきました。
TikTokは「エンターテイメント発見プラットフォーム」
TikTokは「エンターテイメント発見プラットフォーム」としての性格が強く、ユーザーの行動パターンも大きく異なります。
ユーザーは明確な目的を持たず、受動的に楽しさや驚きを期待してアプリを開きます。
WEGOのダイナミック広告事例では、同社が「人気のTikTokトレンドとコンテンツスタイルを分析し、TikTokアカウントマネージャーからの専門的アドバイスを活用」してクリエイティブを制作しました。
この複数の広告クリエイティブを色々な組み合わせでダイナミックに当てていき、受動的なユーザーらに刺さるクリエイティブを短期で突き止めました。
結果として、コンバージョン率2.1倍という成果にまで繋がったと考えられます。
ここで注目すべきは、WEGOが「広告らしさを排除し、ユーザーが自然に楽しめるコンテンツ」として広告を設計した点です。
これは、TikTokユーザーが瞬間的な興味喚起と自然な娯楽体験を求めているからこそではないでしょうか。
I-ne「YOLU」のハッシュタグターゲティング事例は、さらに興味深いです。
従来の「興味関心ターゲティング」と比較して、「ハッシュタグターゲティング」がCTR+41%、完全視聴率2.1倍という大幅な改善を記録しました。
この成果の背景には、TikTokユーザーの独特な行動パターンがあります。
ユーザーは「#トリートメント」「#ヘアケア」「#ヘアオイル」といったハッシュタグに能動的にエンゲージしながらも、そこには感情的な共感や話題性を求めている側面があると思われます。
単純な商品情報ではなく、自分の興味関心と自然に結びつく形でのコンテンツ発見を期待しているのです。
また、YOLU事例で重要なのは、ハッシュタグという「発見の入り口」を通じて、ユーザーが受動的でありながらも関連性の高いコンテンツに出会えるという体験設計です。これこそが、TikTokの「エンターテイメント発見プラットフォーム」としての面白さだと感じました。
受動から能動への、シームレスな引き上げを実現する方法として、「TikTok」「ショート動画」「ハッシュタグターゲティング」は機能していると言えるでしょう。
YouTubeは「情報消費プラットフォーム」
一方で、YouTubeは本質的に「情報消費プラットフォーム」としての性格を持っています。ユーザーは明確な目的を持って動画を視聴し、能動的に情報を求める姿勢でプラットフォームに向き合っています。
この特性は、YouTube広告の成功事例からも明確に読み取ることができます。
例えば、日清食品冷凍の『麺ジャラス・ラブ』では、3分弱という長尺動画でありながら完全視聴率25%以上を記録しました。
これは、ユーザーが長尺コンテンツへの耐性が高く、価値のある情報であれば最後まで視聴する意欲を持っていることを示しています。
タイミーの事例では、各業界の「具体的な課題と解決策」を丁寧に説明する動画を制作しました。
編集はニュース調でストレス無く簡潔に情報が伝わる工夫が見て取れました。
これらから、YouTubeユーザーは単なる商品紹介ではなく、詳細な説明や説得力のある内容を求める傾向にあると考えます。
各業種のビジネスオーナーが抱える人材不足という深刻な課題に対し、タイミーがどのような解決策を提供できるかを論理的かつ具体的に伝えることで、高いコンバージョンを実現したと思われます。
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