インバウンドは「地方分散」へ、岩沼市9.33倍が示すプロモーション機会をナビタイムが分析

「2025年インバウンド激増エリア発表!宮城県岩沼市が9倍超のワケと、マーケターが掴むべき『地方分散』の勝機」サムネイル画像

注目すべき3つのポイント

  1. 全国1位は前年比9.33倍の宮城県岩沼市
    中国・香港・台湾など「金運」信仰が根強いエリアの旅行者に金蛇水神社が強く支持され、仙台空港を起点とした東北周遊が確認されている
  2. 沖縄の大型商業施設が安定した集客力を発揮
    PARCO CITYやイオンモール沖縄ライカム、あしびなーなどの大型商業施設が安定したインバウンド需要を支えており、観光地だけでなく「買い物+体験」の利便性が鍵となっている
  3. 震災復興自然・雪など「その土地ならではの体験」が地方分散を後押
    石川県七尾市(能登半島地震後の復興観光)や北海道美唄市(雪体験)など、地域特有の体験コンテンツが旅行者の行動を広域化させています

株式会社ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームは2026年3月5日、訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』の利用データをもとに、「2025年 全国市区町村別 インバウンド滞在増加率ランキング」を発表しました。

2024年と2025年の各1月〜12月を比較し、滞在数が増加したエリアを市区町村単位で分析した、今回が初の年間版ランキングです。

2025年 全国インバウンド滞在増加率 TOP10

順位都道府県市区町村増加率主な滞在スポット
1宮城県岩沼市9.33倍金蛇水神社
2沖縄県浦添市2.55倍サンエー浦添西海岸 PARCO CITY
3石川県七尾市2.47倍和倉温泉、道の駅 能登食祭市場、のとじま水族館
4福岡県八女市2.36倍八女福島の白壁の町並み
5沖縄県北中城村2.31倍イオンモール沖縄ライカム
6奈良県生駒市2.30倍生駒山上遊園地
7北海道美唄市2.29倍Alpen SNOWLAND 美唄
8大阪府箕面市2.26倍勝尾寺、みのおキューズモール
9沖縄県豊見城市2.17倍イーアス沖縄豊崎、沖縄アウトレットモールあしびなー
10沖縄県南城市2.11倍おきなわワールド、奥武島、斎場御嶽

総合1位は宮城県岩沼市(前年比9.33倍)となりました。
データでは9月と12月に訪問者が集中しており、主な滞在スポットとして「金蛇水神社」が確認されました。岩沼市によると、中国・香港・台湾からの旅行者に「金運」を祈願する文化的ニーズがあると考えられます。

「岩沼市を訪れた旅行者の滞在エリアと市区町村間移動」画像

さらには仙台空港を玄関口に松島・銀山温泉・山寺(立石寺)など東北一帯への周遊も確認されています。

また、2位以下には沖縄県の各市村が大型商業施設を軸にランクインする一方で、3位の石川県七尾市(前年比2.47倍)は、2024年能登半島地震の影響で激減した観光客が2025年4月以降に戻り始めたことが要因のひとつとみられます。

欧米系旅行者を中心にウェルネスツーリズムへの関心が高く、和倉温泉やのとじま水族館も人気を集めています。東京〜大阪を北陸経由でつなぐ「レインボールート」沿いの金沢・富山・高岡との周遊も活発でした。

「Alpen SNOWLAND美唄」画像

7位の北海道美唄市(前年比2.29倍)は12月に集中しており、「Alpen SNOWLAND美唄」での雪遊びが主な観光目的でした。特にシンガポール・マレーシア・フィリピンなど東南アジアからの訪問が多く、雪が降らない地域の人々の需要が地方型スノーリゾートへの注目を押し上げています。

この結果から、神社仏閣の参拝や冬の温泉、日本ならではの自然体験といった「日本固有の地方文化やウェルネスツーリズム」に対する関心の高まりが鮮明になっています

さらに、地方空港を起点とした広域な周遊ルートの利用実態も確認されており、日本の地方都市に眠る観光資源が、着実に外国人旅行者のニーズを捉え始めていることが伺える内容となっています。

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MediaPicks  編集部

今回のデータから見えてくるのは、インバウンド需要が大都市の定番観光地から、独自の物語や意味を持つ地方都市へと着実に広がりつつあるという変化です。

単なる知名度やアクセスの良さだけでなく、その地域ならではの背景や文化的バックグラウンドが、旅行先選択の重要な判断軸になっています。
岩沼市の事例はその象徴といえるでしょう。

「金運」というテーマは、日本人にとってもある程度身近な概念ではありますが、中国・香港・台湾といった地域では、風水や縁起を重視する文化的価値観と強く結びついています。

地域側が意図的に海外向けの新しいコンテンツをつくったというよりも、自治体が持っている既存の資産を日本人以外が再発見した結果、強い集客力を持ったといえます。

今後、マーケターや自治体に求められるのは、歴史・風習・信仰・復興・自然体験など、日本では当たり前に存在している要素も、国や文化が変わればまったく異なる魅力として機能するという視点を持つことです。
そのうえで、そうした既存の資産が特定の文化圏と結びつき始め、伸びる前の兆候を、いかに早い段階で捉えられるかが重要になります。

ジオデータを用いて、特定の国籍や文化圏を持つ人々の滞在比率の微増、ある季節だけの局所的な滞在集中、SNSでのキーワード共起の増加、特定空港からの流入の偏り。こうした小さな変化を見逃さずデータに基づいてプロモーション設計を行えば、「来てほしい人に、刺さる文脈で届ける」戦略が実現できます。

地域固有のストーリーとデータに基づく戦略が結びついたとき、単発的なブームではなく、持続的な観光需要と新たな消費機会の創出につながっていくかもしれません。

関連リンク

プレスリリース・出典
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000545.000026884.html

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