注目すべき3つのポイント
- 「教育ガチ勢」の存在
高校生の26.1%が夏期講習に10万円以上を支出しており、特定のスイッチが入った世帯は高額決済を厭わない「超・高感度レイヤー」へ。 - プレミアム(高価格帯)戦略の有効性
少子化で市場パイが減る一方、1人あたりのLTVの天井は上昇。高価格であること自体が安心感や品質の裏付けと受け取られやすい市場特性。 - 5〜7月の予算「横取り」の好機
夏期講習の「10万円」という金銭感覚(アンカー)を逆手に取り、他ジャンルの高単価商材や代替教育サービスのプロモーションを仕掛ける好期。
株式会社インタースペースのグループ会社である株式会社ユナイトプロジェクトが運営する学習塾検索サイト「塾シル」は、中高生の保護者249人を対象に「塾の費用・通塾実態」に関するアンケート調査を実施しました。
調査によると、春・夏・冬の3シーズンすべてで有料受講率が半数以上(56〜62%)を占め、季節講習費が家計に大きな影響を与えている実態がうかがえます。特に夏期講習費においては、中学生の最多費用帯が「5万〜8万円未満(19.0%)」であるのに対し、高校生では「10万円以上」が26.1%と最多を記録。受験を意識した高校生ほど、講習費が高額化する傾向が明らかになりました。
「教育ヒエラルキー」が生み出す高感度レイヤーへのアプローチ

この回答から、全体の市場パイ(子どもの数)は減っているものの、ターゲット1人あたりの「LTV(生涯顧客価値)の天井」と「購買意欲」はむしろ跳ね上がっていることがわかります。
高校生家庭では10万円以上の費用帯が最多となっており、受験を意識した家庭ほど講習費が高額になる傾向がうかがえます。世帯年収の多寡とは別に、教育という目的が定まった家庭が高額の支出に踏み切る場面があると考えられます。そのため高単価の商品やサービスを扱うマーケターにとっては、居住地域の年収水準だけでなく、すでに教育へまとまった支出をしている層を有効なスクリーニング指標として捉える発想が、SNS運用やターゲティング広告の設計に活かせると考えられます。
5月〜7月の予算ピークに合わせたプロモーション設計
初夏(5月〜7月)は、保護者が「十数万円単位のまとまった支出」を覚悟・決定する、年間でも財布の紐が大胆になる時期といえます。このタイミングを捉えた施策が重要です。
例えば、年間契約のオンライン教材や別ジャンルの高額商材を扱う場合、「夏期講習1回分の費用で、我が社なら1年間対策できる」というアンカリング効果を用いた比較訴求が刺さります。また、旅行や自動車などの他業種にとっては、塾代による出費の重なりが心理的ブレーキになり得る一方、「勉強を頑張る子どもへのご褒美」として高機能文房具やデジタル端末を訴求する企業にとっては、この巨大な出費の波を横取り・リダイレクトする最大の機会と言えます。

今回の調査は、少子化が叫ばれる現代における「1人あたりへの投資額のバブル化」を象徴しています。マーケターが学ぶべきは、顧客の財布が開く特定のトリガーを見極める重要性です。
5〜7月の教育支出のピークを逆算し、親の罪悪感を減らす文脈や、高価格帯を正当化するロジックをプロモーションに組み込むことで、教育業界のみならず、あらゆるBtoCビジネスにおいて購買行動を促すトリガーとして応用可能です。


関連リンク
プレスリリース・出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000570.000013544.html
塾シル:https://jukushiru.com/
【調査概要】
調査名:塾に関する費用・実態アンケート
調査対象:2023年6月〜2025年10月に塾シルで資料請求・体験問い合わせをした中学生・高校生の保護者
アンケート実施期間:2026年5月
調査方法:インターネット調査(自社調査)
有効回答数:249件(中学生146件・高校生103件)
調査・分析実施:塾シル(株式会社ユナイトプロジェクト)








