飲食店×アニメIPのコラボは今や定番の施策となっています。
2020年、コロナ禍にもかかわらず『鬼滅の刃』とのコラボで平日の売上が過去最高を記録した「くら寿司」の記憶は新しいですが、アニメIPとのコラボをする際、アニメファンの特性や消費行動からパターンに分け、コミュニケーション設計を行うことがポイントとなります。
今回は2025年7月から8月まで行われた焼肉チェーン店「じゅうじゅうカルビ」と進撃の巨人コラボキャンペーンの事例から紐解いていきます!
本稿ではさらにこのキャンペーンを整理・考察したうえで、もし自分が企画するならどのような広告シナリオを組み立てるかを検討していきます。
「もうちょっと刺さるアイデアがほしいな……」と思ったとき、世の中の広告を眺めると意外なヒントに出会えるものです。
広告のネタ帳は、そんなときに役立つ『ちょっとした切り口』を広告事例から拾い上げるコラムです。
焼き肉チェーン「じゅうじゅうカルビ」と進撃の巨人コラボの狙いと効果
の章では、キャンペーンの内容を整理し、次に企業としての「じゅうじゅうカルビ」の特徴・ターゲット層を紹介します。
そのうえで、コラボ施策がどのように設計され、実際にどのような反響をもたらしているのかを確認し、最後に「進撃の巨人ファン」をセグメントごとに分析します。
この流れを通じて、飲食チェーンとアニメIPコラボの効果と展開の余地を明らかにしていきます。
キャンペーンの概要
キャンペーン内容
・オリジナルコラボメニューの提供
・先着限定のノベルティの配布
・コラボグッズの販売
今回の焼き肉チェーン店「じゅうじゅうカルビ」と進撃の巨人コラボキャンペーンは7月24日から8月27日まで全店舗で行われているキャンペーンです。
キャンペーン内容はキャラクターをモチーフにした料理が食べられる「進撃の焼肉コース」(税込4,000円)を提供し、先着10,000名にはオリジナルデザインのランチョンマットを無料配布するというもの。
さらに一部店舗では缶バッジやアクリルスタンドといったキャラクターコラボグッズを店頭販売し、近くに店舗がなくても、EC通販サイトで誰でもコラボグッズを購入できるといった工夫もなされています。 この工夫は遠方のファンを取り込むだけでなく、限定品を入手できなかったファンの不満や転売リスクを低減し、ブランドイメージ低下を防いでいます。
2021年リーズ大学のマーケティング論文でも希少性を訴えるプロモーションは時に逆効果を生み、購入できなかったユーザーたちが怒りを覚え、競合ブランドへの乗り換えに繋がると指摘しています。
ただしアニメIPとのコラボは、あくまで短期的な売上や話題性を高めるための施策であり、長期にわたって繰り返しコラボをしない限り、リピーター促進には直結しにくいという特徴があります。
そのため今回の取り組みも、期間内にどれだけ注目を集め、ファンに来店を促せたかが鍵になります。
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焼き肉チェーン「じゅうじゅうカルビ」とは
企業概要
ブランド名:じゅうじゅうカルビ
運営会社:株式会社トマトアンドアソシエイツ(すかいらーくグループ)
業態:全国焼肉チェーン店
店舗数:全国46店舗(2025年8月現在)
「じゅうじゅうカルビ」は、すかいらーくグループのトマトアンドアソシエイツが運営している全国焼き肉チェーン店です。
全国46店舗を展開しており、主に郊外の幹線道路沿いに出店する戦略を取っています。 ブランドコンセプトは「熟成焼肉食べ放題」。徹底した品質管理により質の高い熟成肉を仕入れつつ、すかいらーくグループの強みであるセントラルキッチンを利用し、店舗内調理を最小限に抑えています。
さらにタッチパネルや配膳ロボットを導入し、オペレーションコストを削減。その結果、コストパフォーマンスに優れた主力コースをおよそ3,000円前後で提供しています。
その価格帯からファミリー利用や学生利用も多く、さらに「未就学児は無料」「学割コース」といったターゲット顧客層に対して充実したサービスも行っています。
郊外の幹線道路沿いのロードサイド店舗は、駅前や商業施設内と比べ家賃・地代が比較的安く、また広い座席と駐車場を備え、大人数利用に対応できます。
しかし車での来店が前提となるため、繁華街のような「ふらっと寄る」導線がほぼありません。よって、ロードサイド型店舗は来店目的をいかに消費者に与えるかが重要です。
割引キャンペーンや夏祭りフェアといった一般的な施策では、「わざわざ行く理由」を生み出す力はあまり強くはありません。
一方、今回のようなコラボキャンペーンは進撃の巨人ファンであれば目的を持って来店する動機になります。 そのため、もともとロードサイド型は商圏が広いのが特徴ですが、商圏外からのファンの流入が期待できます。
キャンペーンの設計
【メインターゲット】
・進撃の巨人ファン
今回のキャンペーンのメインターゲットはなんといっても「進撃の巨人ファン」です。
コラボキャンペーン、とりわけ人気アニメIPとのコラボは多くの人に来店するきっかけを与えてくれます。 さらに今回のように「コラボメニュー」や先着でランチョンマットがもらえるといった限定要素・体験要素は、SNSの投稿にも繋がります。
キャンペーンの反響
また先着限定のランチョンマットの裏側は壁のシーンが描かれていて、巨人になりきって写真を撮れるといった楽しみ方もできます。
このように来店者自身がSNSを通じて自発的に宣伝をしてくれるのがアニメIPとのコラボの強みです。
進撃の巨人ファンを4タイプに分類

この分類は作品への愛や熱量ではなく、どのくらい進撃の巨人というコンテンツに対して消費行動を行うかでセグメントに分けています。
コアファンは作品を読んでいて関連商品を積極的にコレクションする層です。原画展やコラボカフェに遠征をしてでも足を運び、ガチャ商品があればコンプリートするまで複数回購入をするといった消費行動をとります。
カジュアルファンは作品を読みこんでいて好きだが、購入は実用性や好みに合った一部のグッズにとどまるといった層です。コラボカフェが近場にあり、きっかけがあれば行くが、遠征まではしません。
ライトファンは作品を読んではいるが、グッズ購買まではほとんどしない層です。漫画はレンタルや電子書籍で読むが、コミックスを買い揃えるといった行動はとりません。
潜在層はキャラクターや世界観を知ってはいるが、作品そのものには触れていない層です。進撃の巨人は社会現象にもなったアニメのため非認知層は少なく、多くの一般人もここに当てはまります。
現状、じゅうじゅうカルビにおける広告施策は以下の取り組みが中心となっています。
主な広告施策
・公式HPでの告知
・プレスリリースの配信
・公式SNSでフォロー&リポストで限定グッズの抽選

進撃の巨人ファンという視点で見れば、現状の施策は普段から「進撃の巨人」について検索しているコアファンへの情報発信が中心で、カジュアルファンやライトファンへの発信はさらに広げていける余地があるようにも思われます。
そこでマーケトレンドでカジュアルファンやライトファンにリーチできる広告施策をご紹介します。
編集部が考える追加施策アイデア3選!
カジュアルファンに刺さるアニメイト同封広告

アニメ・漫画グッズの専門店のアニメイトは全国47都道府県で店舗販売を行っていますが、オンライン販売も行っています。 アニメイトを利用する層はアニメファンの中でも実際に消費行動を起こす消費熱量の高い層(コア層~カジュアル層)が多いのが特徴です。
そのアニメイトではオンラインストアで購入した商品にチラシ広告を同封する広告施策を行うことができます。
この広告であれば、一般流通チャネルではアプローチできない全国のカジュアルファンにターゲットを絞って広告を届けることができます。
店舗内での広告メニューもありますが、オンラインでの購入者はカジュアルファンが比較的多いと推測されます。 もちろんアニメイトの利用者が進撃の巨人のファンとは限りませんが、進撃の巨人はアニメ・漫画業界における代表的な大型IPであり、多くのアニメファンが視聴経験を持っています。
ライトファンに刺さるNアニメ広告

Nアニメはニコニコ動画内で無料でアニメを視聴することのできるサービスです。 公式配信されているアニメの1話と最新話を無料で視聴できます。
そのためNアニメのユーザーはアニメ専門の定額制ストリーミングサービスで有料契約をして視聴するコア層ではなく、あくまで無料でアニメを楽しむライトファンが中心です。
ここでNアニメで動画広告を配信すれば、これまで有料サービスにまでは踏み込まなかった層にリーチできます。
またNアニメでの動画広告は「他のユーザーと同じタイミングで視聴される」というのが特徴です。
そのためニコニコ動画でお馴染みのコメント機能によって、広告中にもリアルタイムで感想やツッコミが交わされます。
一人で視聴していればスルーされがちな広告もツッコミどころのあるクリエイティブを用意すればSNSでの二次拡散や話題化につながりやすいのも大きな強みです。 さらに「Adblockといった広告ブロッカーで広告を消せない」というのも特徴で他の広告に比べて接触機会が増える可能性があるのも大きな特徴です。
潜在層にも届けるOOH広告

近年アニメの世界観と連動したOOH広告(屋外広告)が注目を集めています。
映画『「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』とSpotify Japanのコラボレーションによる広告展開では「鬼は夜にしか出現しない」という設定を活かし、渋谷周辺の店舗シャッター面をOOHメディアとして活用。 日中は閉じたままのシャッターが、夜になると鬼のビジュアルが浮かび上がるという演出で、話題を呼びました。
この手法を応用し「進撃の巨人」とのコラボを行うじゅうじゅうカルビでも、例えば「巨人が壁から覗き込んでいるかのような」巨大OOH広告を展開することが可能です。
「進撃の巨人」のように広く認知されている大型IPであれば、OOH広告のようなマス広告との相性も良く、大きな効果を発揮すると考えられます。
重要なのは作品を深く理解し、世界観の一貫性とインパクトを両立させることです。 両立できていれば潜在層にも深くリーチすることができ、SNSでの投稿も自然と生まれ、話題性にも繋がると言えます。













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