健康志向の高まりを背景に拡大を続ける機能性表示食品市場。その中でも「甘酒」は常温商品がシェアを占めるなかで、老舗清酒メーカーが展開する本商品はチルド商品であるため、店頭で“商品を見つけてもらいにくい”という課題を抱えている。
そこで、味の訴求から機能性表示食品として新たな価値訴求へと舵を切り、認知拡大とともに顧客獲得を一気通貫で実現したのが今回の事例だ。オフィスサンプリングとトイレ広告を組み合わせ、ターゲットとなる20~40代女性に効果的にアプローチした株式会社バカンのプロモーション事例をもとに、オフライン施策がもたらす成果と可能性を探る。
課題と施策
競争激化する甘酒市場で直面した課題
メディアレーダー:
はじめに、クライアント様から施策実施のご依頼を受けた経緯をお聞かせください。
栗原様(バカン):
今回、既存商品のリニューアル時期に合わせ、「認知を獲得したい」とのことでご依頼いただきました。本商品はもともと「おいしさ」をメインに訴求しており、甘酒では珍しいチルド商品です。しかし、甘酒は常温商品がシェアを取っているため、スーパーなどの小売店では甘酒と聞いて一般的に想起される販売棚には陳列できず、「商品を見つけてもらえない」ことが課題でした。

神奈川県出身。慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業後、総合広告代理店にて営業、クリエイティブ、プロモーション、マーケティング戦略立案を経験。鉄道・運輸・観光・保険・ヘルスケア・乳酸菌飲料・通信会社・スマートデバイス・カフェチェーンなど多岐にわたるクライアントを担当。
そこで、「おいしさ」から「機能性表示食品」に訴求軸をリニューアルし、「機能性表示食品」としての認知獲得とこのリニューアルが消費者にどう捉えられるかを調査するため、トイレ広告(個室内サイネージ広告)とサンプリング配布を実施しました。
メディアレーダー:
なるほど、味から機能性への訴求にシフトしたのですね。
栗原様(バカン):
はい。チルド商品という点が店頭販促では「弱み」になってしまうので、便通改善や肌の保湿といった機能性表示を獲得し、ヨーグルトなどが置かれるチルド商品のコーナーで消費者に選んでもらう方向性へ変更したと聞いています。
“味と機能”を伝えるプロモーションの全貌
メディアレーダー:
では、実際にどのようなプロモーションを実施したのでしょうか。
栗原様(バカン):
はい、今回はオフィス内の女性トイレ広告1か月放映+オフィスサンプリング1万本を実施しました。

通常、ユーザーが購入を決めるまでには「認知」「興味関心」「Desire(欲求)」の過程があり、 各工程の間で検索行動が発生していることが多いです。トイレ広告では、この3つの工程を一気通貫でカバーできます。さらに、広告視聴をしたユーザーに試飲いただくことで購入の後押しをする、そんなプロモーション構造になっています。

また、アンベール(株式会社バカンが提供するトイレ広告サービス)のメイン視聴層は20~40代の働く女性で、本商品のターゲットと一致しています。女性トイレ内に設置したアンベールで放映すると、視聴層の内訳はおおよそ20~40代75%、50代以上25%です。そのため、ターゲット層の3/4はカバーできていることになるので、非常に相性が良かったと感じています。
メディアレーダー:
かなりマッチしていますね。では、ターゲットは既に決まっていたのでしょうか。
栗原様(バカン):
そうですね。働く20~40代の女性をターゲットにプロモーションを実施しました。
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トイレ広告の放映は女性トイレのみでしたが、サンプリングでは一部男性にも配布し、実際に飲んでいただいた方から「イメージと違って美味しい」という声も聞くことができたのは、クライアント様にとっても貴重な気づきになったと思います。
メディアレーダー:
なるほど。クライアント様はその他にも「認知獲得」を目的とした広告施策は実施していたのでしょうか。
栗原様(バカン):
YouTube広告はやっていたと聞いています。ただ、YouTube広告では興味関心ユーザーの視聴状況がわからず、ユーザー側も視聴した時間帯や内容、クリエイティブといった詳細までは記憶してないことが多いです。
また、ターゲティングしても、結局は同じ課題を抱えたユーザーに類似商品の広告が届いている可能性も考えられます。そうすると、自社の商品を覚えていてもらうことはさらに難しくなります。
このような課題も、トイレ広告であれば遮る情報もないため、自社商品の広告だけが流れる空間づくりが可能です。「認知」の段階では”覚えてもらうこと”が重要なので、トイレでゆっくり過ごす時間に流れてくる広告は”覚えてもらうこと”に適した媒体だと考えています。競合との差別化を図るにあたって、このような訴求をできることも、トイレ広告を検討いただいた理由の一つだと思います。
施策結果
トイレ広告×サンプリングで得られたリアルな反響
メディアレーダー:
実施したプロモーションの成果はどうでしたか。
栗原様(バカン):
配布したユーザーを対象にWebアンケートを実施し、「実際に店頭で商品を購入した」と回答した人数からROASも100%超えと、成果は良かったです。
※購入数や行動変容率などの成果詳細は本施策の事例資料 (無料)をご覧ください。
もともとの課題にあった通り、「店頭まで行ったが商品を見つけられなかった」という回答も残っていましたが、「チルド商品としての認知をさらに伸ばしていくことで購入増加に繋がる」といったさらなる課題発見にも繋がりました。
メディアレーダー:
1回の実施でROAS100%超えは、かなり良い成果ですね。
栗原様(バカン):
そうですね。今回のサンプリングでは新規認知を獲得したことや態度変容を起こすことにも繋がっており、1回実施いただければ、新たな課題発見に役立てていただくことが多いです。

他に実施したこととして、フリーアンサー分析と傾向整理も行いました。すると、「冷やして飲むと甘さがちょうどよく感じる」などの声が多く、弱みであったチルド商品も、他社製品では味わえない体験を提供できていることがわかりました。ここでは、「冷たさ」を訴求することも勝ち筋なのではないかという学びが得られました。
メディアレーダー:
いままで弱みとなっていた部分が好評だった、というのは面白いですね。
栗原様(バカン):
そうですね。「普通の甘酒とイメージが違う」と回答したユーザーが多くて、今回のサンプリングでは好印象な結果となりました。いままでネガティブな印象を抱いていたユーザーも、これは美味しいという感想があったので、「じゃあ弊社の甘酒選んでくださいね」という流れで訴求できます。
ただ、食感の話になると好みが二分化することもわかったので、その対策として食感の訴求は控えた方が良いということも新たに発見することができました。
メディアレーダー:
ただ「売れました」と回答をするのではなく、次に活かすのに必要な情報まで一緒に提供できているのは魅力的ですね。手ごたえもかなりあったのではないでしょうか。
栗原様(バカン):
そうですね。商品が直接的な販売に繋がった実購買率の話ができたことや、「購買に至らなかったけれど、購入したい」と思っているユーザーの購入検討理由まで明確に提示できたことは、クライアント様のお役に立てたと強く実感できる部分ですね。
メディアレーダー:
ありがとうございます。数値だけでは見えない部分まで知ることができるのも、バカン様ならではの強みですね。
栗原様(バカン):
ほかクライアント様の事例でも、「◯◯の時に助かりました」といったお客様からリアルな声が届いたこともあって、「そこにお客様がいたという事実をより実感できた」と商品開発の担当者様から言っていただけたことは嬉しかったですね。生活の一部に溶け込むトイレ広告だからこそ得ることのできた、ユーザーの声だったと思います。
今回の取り組みを振り返って
メディアレーダー:
社内での評価としてはどのように評価されていますか。
栗原様(バカン):
実は、オフィスの中で商品を配布することを初めて実施したのがこの案件でした。商品設計を一緒に作ることができたという観点と、作ったものがお客様にどのように捉えられて、どのような可能性を生んでいくのか、そのような部分で、商品開発を一緒にできたというのは、弊社としても学びになった案件でした。
メディアレーダー:
オフィスサンプリングを実施することで、「直接的な購買に留まらず、その後の販促に活用できるデータもご提供することができる」とわかった事例だったのですね。
栗原様(バカン):
そうですね。オフィスという場所で、接触して、その従業員の方々に対して体験を作るということの価値を強く理解することができた事例でした。

本事例に関する資料
本記事で紹介した広告プロモーションの事例資料と広告プロモーションを実施したトイレ広告「アンベール」のサービス資料をご紹介します。無料でダウンロード可能ですので、ぜひご覧ください。








