検索広告の限界を突破する「動画広告」運用の教科書。成果を最大化するファネル設計と高速PDCAの全手法

検索広告の競争が激化し、大手企業との認知度格差が広がる中で、中小・ベンチャー企業が確実な成果を上げるための施策として動画広告が注目を集めています。

今回は、動画広告の運用で実績を持つ日辰広告株式会社の松山航平氏にインタビューを実施し、成果を最大化するために不可欠な「戦略に基づいた設計の必要性」「徹底した調査と迅速なPDCAサイクル」のノウハウについて深くお話を伺いました。

大学3年次から当社でインターンとして広告運用業務に従事し、2015年に正式入社。2018年から2年間、国内大手DMP企業のインティメート・マージャー社に出向し、データ活用やアドテク領域の知見を深める。帰任後は、デジタル戦略設計・広告施策・クリエイティブディレクションを一気通貫で担当。運用型広告・クリエイティブPDCA・インフルエンサー活用を組み合わせ、複数の案件でCVR改善・CPA削減に寄与している。

目次

検索広告の限界と動画広告が必要とされる背景

――直近のマーケティング市場において、検索広告の費用高騰やCPAの悪化が叫ばれています。現場では今、どのような変化が起きているのでしょうか。

一番大きな理由は、既存の「検索広告」単体での競争が激化している点にあります。直近5年のデータを紐解くと、主要なキーワードの検索ボリューム自体は軒並み減少傾向にある一方で、検索広告の費用自体は右肩上がりに伸びています。

これはつまり、狭まっていく検索ユーザーに対して、より多くの企業が多くの予算を投じて奪い合っている状態を意味します。すでに市場が成熟しているため、知名度や資本力のある大手企業がどうしても有利になり、普通にやり合っても中小・ベンチャー企業は勝てません。

だからこそ、ユーザーが「検索する前段階」のフェーズ、すなわち認知や興味喚起の段階で、いかに自社の商品・サービスを印象付けられるかが勝負の分かれ目になります。

その潜在層へのアプローチにおいて、最も高い効果を発揮するのがSNSなどを活用した動画広告なのです。

――潜在層へのアプローチとなると、ディスプレイ広告やSNSの静止画広告など、他にも選択肢がありますよね。その中で、なぜ「動画広告」を選ぶべきなのでしょうか。

それらの認知媒体と比較したとき、動画広告には「情報量の多さ」と「感情の動かしやすさ」という2つの絶対的な優位性があります。静止画広告は一瞬で伝えられる情報がテキストと画像1枚に限られますが、動画は視覚情報だけでなく、音声、テロップ、そして「時間の経過によるストーリー」を掛け合わせることができます。

大手企業の認知度に対抗するには、ただ名前を知ってもらうだけでなく、一瞬で「自分向けのサービスだ」「おもしろそう」と深く理解させ、感情を動かさなければなりません。ストーリーを持ってユーザーの心を掴み、記憶に強烈に残すことができるのは、数ある認知媒体の中でも動画広告なのです。

検索ボリューム減少とコスト高騰に立ち向かうために、なぜ動画広告が最適なのか。その背景となるデータや具体的な動画活用を記載したホワイトペーパーを下記よりダウンロードいただけます。

成果が出ない動画広告に共通する「目的と手段のズレ」

――情報量が強みになるからこそ、潜在層の心を動かせるのですね。ただその一方で、「動画広告に予算を投じているけれど、コンバージョンに繋がらない」という企業の相談も多いのではないでしょうか。

まさにその通りで、ご相談をいただく企業の多くはすでに何らかの形で動画広告を配信されています。しかし、成果が出ていない最大の原因は、動画そのものの質というよりも「目的と手段のズレ」にあります。

よくあるのが、「過去に作ったインタビュー動画」や「テレビCMの素材」をそのままWeb広告に横展開して流してしまうケースです。Webの動画広告において、ユーザーの意思決定プロセス(認知、比較検討、信頼性の確認など)を無視したコンテンツは、すぐにスキップされてしまい記憶にも残りません。逆にコンバージョン直前のユーザーに対して周りくどい認知用の動画を流すと、ユーザーが離脱してしまう原因にもなります。

つまり、動画広告で確実にコンバージョンまで繋げるためには、まず「この動画はファネルのどこに位置し、ユーザーにどんな行動を促すのか」という戦略に基づいた明確な設計が不可欠なのです。

――ターゲットの検討状態に合わせた設計が重要ということですね。よく市場では「Web動画広告は短い方がよい」という説もよく耳にしますが、このあたりも設計に関わってくるのでしょうか。

それも大きな誤解の一つですね。

確かに5秒や6秒の短い動画であれば、スキップされにくいため「視聴完了率」というデータ上の数値は上がります。しかし、その数秒間でユーザーの記憶に残り、次のアクションに繋がるメッセージをどれだけ伝えられているでしょうか。中身が伴っていなければ何も伝わりません。

逆に、ユーザーがなんとなく見続けてしまうような構成になっていれば、60秒の動画であっても最後までしっかり視聴されます。InstagramのストーリーズやTikTokの優れたオーガニック投稿のように、5秒区切りで「なぜなら」「実は」と先を惹きつける展開を作れば、長尺の動画のほうが圧倒的に多くのメッセージを届けることができ、結果として高い成果に繋がります。

つまり、動画広告の成否は「動画の長さ」や「見栄えの美しさ」ではなく、『文脈の設計』ができているかどうかが非常に重要になってきます。

「動画を作ったけれどコンバージョンに繋がらない」とお悩みの方へ。
正解となるファネルごとの適切な動画設計ルールは、下記の資料よりご確認いただけます。

ターゲットのフェーズに応じた「動画の組み合わせ」が成果を最大化する

――「文脈の設計」が大切とのことですが、具体的にどのように動画を使い分ければ良いのでしょうか。

重要なのは、ユーザーの検討ファネル(認知・興味・比較・CV・LTV)ごとに、適切な動画フォーマットと配信チャネルを「組み合わせる」ことです。

例えば、まだ自社を知らない「認知・発見」の潜在層に対しては、スマホをスクロールする手を止めるための「ショート動画(コンテンツ風・UGC風動画)」をSNS広告で配信するのが効果的です。

そこから一歩進んで「興味・関心」を持ったユーザーには、サービスの背景や一般論を優しく解説する「解説・ストーリー動画」をオウンドメディアやLP(ランディングページ)上で見せ、理解を深めてもらいます。

さらに「比較・評価」のフェーズに移った顕在層には、他社との違いや具体的な使い方を示す「商品説明・FAQ動画」を当て、最終的な「CV(購入・申し込み)」の直前では、ユーザーの不安を解消するために「お客様の声」や「専門家のレビュー」といった「信頼性向上動画」をLPのフォーム付近に配置します。

このように、1つの動画にすべてを詰め込むのではなく、ユーザーの検討ジャーニーに合わせて「ショート動画」「解説動画」「信頼性向上動画」などをマルチチャネルで複線的に組み合わせることで、初めて取りこぼしのない強固なマーケティングファネルが完成します。

ユーザーのフェーズに合わせた動画設計の具体的な手法などは下記資料よりご覧いただけます。

徹底した事前調査と迅速なPDCAがもたらす成功事例

――動画をファネルごとに組み合わせることで、全体の成果を引き上げるわけですね。ただ、それだけ多くの動画を設計・運用するとなると、検証や改善の手間が膨大になりそうです。日辰広告様では具体的にどのようなフローで成果を導き出しているのですか。

弊社では、事前の準備なしにいきなり動画の制作に入ることは絶対にありません。
市場調査→制作/配信→分析→ブラッシュアップ作成の順で、仕組み化されたPDCAをハイスピードで回していきます。

①市場調査
最も肝となるのは、配信前の「徹底した事前調査」です。

具体的には、ヤフーのデータソリューションなどの調査ツールを用いて、ユーザーの「前後検索ワード」や「共起ワード」を分析し、顧客のリアルなインサイトを徹底的に掘り下げます。これにより、自社の商品がファネル上でどのような役割を持つべきか、競合に対してどのポジショニングを狙うべきかを明確に定義してから制作に着手します。

②制作/配信
配信が始まってからの「迅速なPDCAサイクル」がもう一つの強みです。

個々のバナーや動画の“1本の完成度”にこだわりすぎて時間をかけるのではなく、生成AIやデザインツールをフル活用し、スピーディに幅広いクリエイティブパターンを量産します。

③分析/ブラッシュアップ
配信開始後は1〜2週間という非常に短い単位で結果を検証します。

Clarity(ヒートマップ)や独自のデータダッシュボードを用いて、広告表示からクリック、LP遷移後のCV導線までを一貫してリアルタイムに分析します。「冒頭3秒のフックをどう変えるか」「コピーやビジュアルのどこにボトルネックがあるか」をスピーディに要素分解してブラッシュアップを重ね、当たった軸をベースに横展開していく体制を構築しています。

日辰広告が実践している「市場調査からクリエイティブ要素分解、ブラッシュアップ制作」までの具体的なPDCAフローをは下記資料からダウンロードいただけます。

――徹底した事前調査に基づく仮説と、配信後のハイスピードな検証環境がセットになっているのですね。この「仕組み」によって劇的な改善を見せた具体的な事例があれば教えてください。

分かりやすい実績として、異なるアプローチで大きな成果を出した2つの事例をご紹介します。どちらも「リスティング広告の頭打ち」という共通の課題から、動画を戦略的に組み合わせてブレイクスルーを起こしたケースです。

事例①:バイク保険

抱えていた課題:

前代理店の運用では成果が上がらず、リスティング広告のみに依存して集客が完全に頭打ちになっていた。

日辰広告の施策:

データに基づき「警視庁の盗難データを活用した危機感醸成」「鍵をかけても盗まれるという感情訴求」など、複数の動画・バナー軸をスピーディに制作して検証。さらに、バイクコミュニティの存在に着目し、実際のバイカー(YouTuber)に語ってもらうリアリティのあるタイアップ動画を企画・配信。

もたらした成果:

YouTubeタイアップ動画が起爆剤となり、広告からの獲得だけでなくオーガニックからの獲得も大幅に増加。結果として、約1年半で実契約数が1.7倍に成長し、CPAを約2/3にまで抑えることに成功。

事例②:会員制健康管理支援サービス(人間ドック)

抱えていた課題:

ターゲット層が「健康意識の高い経営層全体」と非常に狭く、リスティング広告での集客が非効率(CPAが10〜20万円と高騰)になっていた。

日辰広告の施策:

配信媒体をMeta広告(Facebook・Instagram)へシフト。単なる施設紹介動画ではなく、経営者が知るべきリスクや健康の重要性を語る「学び型・コンテンツ風の動画」へとクリエイティブを根本から変更しました。同時に、意思決定のハードルを下げるために「お役立ちホワイトペーパー(資料)」をLPに追加し、動画から資料ダウンロードへ促す導線を設計。

もたらした成果:

安定して質の高いリード(経営者層)を獲得できるようになり、月間のCV数が数件レベルから30件へと大幅増。CPAも約3万円へと劇的なダウンを達成。

本記事で紹介した事例の具体的な改善施策は下記よりご覧いただけます。

新しい動画広告の選択肢「運用型DOOH」

――ファネルに応じた動画の組み合わせが有効とのことですが、Web以外にも注目すべきチャネルはありますか。

直近の非常に面白い潮流として、デジタル屋外広告(DOOH:街中や駅構内、タクシー、ゴルフ練習場などのサイネージ広告)をWeb広告と組み合わせる手法が挙げられます。

これまでの屋外広告は「ブランド認知」のためだけに大金を投じる特性が強く、効果測定が難しい点がネックでした。しかし現在の「運用型DOOH」は、ターゲットが密集する特定のロケーションや時間帯を狙って動画を配信できるようになっています。

さらに、サイネージ動画で「見たことがある」という状態(純粋想起)を作った上で、全く同じ文脈・クリエイティブのショート動画をスマホ(SNS広告)で配信する、あるいは、DOOHを見たユーザーが検索したくなるようなキーワードを動画内に盛り込んで検索広告で確実に受け止める、といった『DOOH×Web広告』の掛け合わせが非常にパワフルです。

スマートフォンの画面内だけで完結させず、日常のリアルな動線の中に動画広告を組み込むことで、認知から獲得までのファネルをより強固に、かつ立体的に繋ぐことが可能になります。

Web広告の枠を超え、ターゲットの生活動線にアプローチする「運用型DOOH」の資料は下記よりダウンロードいただけます。

まとめ:動画広告は「ただ流す」から「戦略的に運用する」時代へ

成熟しきった検索広告市場において、CPAの高騰を打破するための鍵は「動画広告」にあります。しかし、それは単に見栄えの良い動画を制作すれば良いという意味ではありません。

大切なのは、以下の3つのステップを徹底することです。

①ユーザーの感情フェーズを理解し、ファネルごとに適切な動画(ショート、解説、信頼性向上など)をマルチチャネルで組み合わせる「戦略設計」
②配信前に顧客インサイトを徹底的に掘り下げる「事前調査」
③データに基づいてクリエイティブの勝ち負けを要素分解する「迅速なPDCA」

これらを一気通貫で仕組み化することによって初めて、動画広告はブロードな認知施策ではなく、確実な「獲得の武器」へと進化します。日辰広告では、表面的な再生数や視聴完了率に囚われず、クライアント様のバックエンドデータ(成約数・売上)に直結する泥臭くロジカルな動画運用を今後も支援してまいります。

本記事でご紹介した、市場の競争激化に負けないための「ターゲット別動画の使い分けマトリクス」や「競合を出し抜くための調査・高速PDCA設計の具体フロー」など、日辰広告株式会社が培ってきた最先端の運用ノウハウを凝縮した資料は、メディアレーダーより無料でダウンロードいただけます。

「現在のCPAを改善したい」「自社に最適な動画の組み合わせを知りたい」とお考えのマーケティング担当者様、プランナー様は、ぜひ以下のリンクよりお気軽にダウンロードしてください。

■概要

動画広告が伸びる一方で検索市場が競争化している背景を踏まえ、「動画だけでは成果が伸びにくい」理由を整理。

認知〜比較〜CV〜LTVまでのファネルに合わせた動画の役割設計、広告・LP・分析を連動させる統合設計とデータ起点PDCAの進め方、よくある失敗パターンと改善ポイントを解説。

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