注目すべき3つのポイント
- 業務でAIを利用している人は41%にとどまり、現場全体へ広く定着する段階には至っていません。
- AIに最も期待される業務改善は「業務効率化」で、一方で出力の正確性などには不安が残ります。
- 社内ルールや前提情報を反映したAIの活用が、実務定着のカギになると考えられます。
業務でのAI利用率は41%、約6割が未活用
株式会社トラスクエタは、全国の20〜60歳の男女100名を対象に「業務におけるAI利用に関する意識調査」を実施したとしています。同社によると、業務でAIを利用している人は41%にとどまり、約6割は利用していないとのことです。
今後1年以内のAI導入については、「すでに導入している」が22%、「導入を検討している」が17%と前向きな回答が計39%を占める一方、「未定」が27%、「導入予定なし」が34%と、判断に至っていない層が半数以上を占めるとしています。関心の高まりと実際の定着のあいだには、なお差が残っている状況がうかがえます。なお本調査はインターネット調査で、サンプル数は100名です。

利用率の水準は、対象とする層によって大きく変わります。メディアレーダーが会員(広告・マーケティング関連従事者)468名を対象に実施した2026年版 生成AI活用実態レポートでは、生成AIを「活用している」と回答した人が90.8%に達しました。一般の業務従事者で41%という今回の数字と並べると、広告・マーケティング業界がAI活用で先行している構図が読み取れます

AIに期待する業務改善は「業務効率化」が57%
具体的な利用業務としては、「文章作成・メール作成」が40%で最も多く、次いで「情報収集・リサーチ」が37%と、日常業務を補助する領域から導入が進んでいるとしています。

AIに期待する業務改善では、「業務効率化」が57%で最も多く挙がりました。次いで「人手不足の解消」「情報収集・分析の効率化」がそれぞれ28%、「コスト削減」「作業ミスの削減」がそれぞれ25%と続いており、作業時間の短縮だけでなく、限られた人員での業務遂行や品質の安定化への期待もうかがえるとしています。

期待される効率化が現場でどの程度実現するかは、活用シーンによって異なります。広告代理店向けのWEB広告×生成AI 導入事例集では、レポート作成の工数を1回あたり8分の1まで削減し、クリエイティブ生成によって広告バナーの制作量を4倍に増やした例が紹介されています。期待にとどまらず、効率化を実務の成果へ落とし込んだ事例として参考になります。
実務定着の課題は出力の正確性と社内ルールへの適合
AIの業務利用に対する実感では、実務負担が軽くなる期待・実感のほうが大きいとの回答が計38%を占めた一方、仕事を奪われる不安のほうが大きいとの回答も計24%にのぼりました。期待と不安が併存している状況がうかがえます。

同社は、出力内容の正確性や、社内ルール・業界基準に沿っているかといった点に不安を感じる層が一定数いると指摘しています。誤った判断がリスクにつながる確認業務やチェック業務では、一般的なAIをそのまま利用するだけでは不安が残るケースがあるとのことです。
こうした課題に対し、トラスクエタは前提情報や社内ルールを教師データとして活用し、確認・チェック業務を支援するAI搭載SaaSツールを提供しているとしています。利用時のハルシネーション(もっともらしい誤り)のリスクを抑えながら、現場で安心して使える仕組みづくりを目指しているとのことです。
MediaPicks編集部の視点
MediaPicks 編集部マーケティング業務でも、AIによるコンテンツ生成やデータ分析の導入が進んでいます。ただし、広告表現の審査や薬機法・景表法のチェックなど正確性が求められる領域では、ハルシネーションが導入の障壁になりやすい点に注意が必要です。今回の調査が示すように、一般的な生成AIをそのまま使うのではなく、自社のブランドガイドラインや業界ルールを学習させた特化型AIを取り入れることが、業務効率化とリスク管理の両立に向けて重要になると考えられます。
利用率41%という数字は一般の業務従事者を対象としたものであり、広告業界では9割超という調査結果もあります。広告・マーケティングの現場はすでに「試してみる」段階を越えつつあり、次の論点は「どこまで安心して任せられるか」に移っている可能性があるといえるでしょう。
関連リンク
プレスリリース・出典
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000054524.html
調査概要
調査名:業務におけるAI利用に関する意識調査
調査期間:2026年5月27日
調査対象:全国の20歳以上60歳以下の男女
サンプル数:100名
調査方法:インターネット調査







