注目すべき3つのポイント
- アドフラウド(広告不正)の認知度は75.8%に達する一方、運用担当者の39.0%が「見かけのCPA高騰」を懸念して対策を躊躇・中止している
- 被害経験者のうち、広告費の1〜20%が搾取されているケースが約8割にのぼり、企業の利益を構造的に侵食している
- 対策の責任所在が「広告代理店任せ」または「明確な担当者不在」のケースが合計33.8%に達し、当事者意識の希薄化が課題として浮上
認知度7割超の裏側で進む「対策の躊躇」
かっこ株式会社が発表した「2026年版 ネット広告不正(アドフラウド)に関する実態調査」によって、ウェブ広告運用現場が抱える構造的な課題が明らかになりました。

調査では、アドフラウド(botや競合他社による不正クリックなどで広告費が搾取される事象)の認知度が75.8%に達し、69.3%の担当者が自社広告の配信先をコンプライアンス上のリスクとして認識していることが判明しました。リスク認識は一定の広がりを見せている一方で、運用現場では別のジレンマが浮かび上がっています。
最大の障壁は「見かけのCPA悪化」への社内評価懸念
本調査で示された最大の論点は、対策実施時に生じる評価上の問題です。アドフラウド対策を導入すると不正クリックが排除されるため、クリック数の分母が縮小し、結果としてCPA(顧客獲得単価)が見かけ上は上昇します。この「見かけの成果悪化」を理由に社内評価の低下を恐れ、対策を躊躇または中止した経験を持つ担当者は39.0%にのぼりました。

質の低い安価なクリックを成果指標に組み込んでしまう旧来の評価体制が、本質的なリスク対策を妨げている構図がうかがえます。
広告費の1〜20%が搾取される構造リスク
被害実態にも踏み込んだ結果、調査対象全体の36.8%が「アドフラウド被害を経験したことがある」と回答しています。被害経験者のうち、搾取された広告費の割合は「1%〜5%未満」が27.9%で最多となり、「5%〜10%未満」が26.5%、「10%〜20%未満」が23.8%と続きました。三つのレンジを合わせると約8割を占めます。

数パーセントという気づきにくい水準から、利益を侵食する水準まで被害は広く分布しており、特定業種に偏らない構造的なリスクであることが示されました。
責任所在の曖昧化と評価制度の再構築
現在実施している対策では「広告代理店に任せている」が42.8%で最多を占めました。一方で、対策責任の所在を問う設問では、「広告代理店任せ」が17.8%、「明確な担当がいない」が16.0%と、合計33.8%が責任の曖昧な状態に置かれています。

これらの結果は、アドフラウド対策が現場のKPI管理だけで完結する問題ではなく、評価指標そのものの再設計を経営層が主導すべき課題であることを示唆しています。明治大学サイバーセキュリティ研究所の齋藤孝道所長も本調査に寄せたコメントで、アドフラウドをサイバーセキュリティおよびコンプライアンス上の重要課題として再定義する必要性を指摘しています。
なお、調査主体であるかっこ株式会社の各種サービス資料は以下からご確認いただけます。

本調査結果は、多くの日本企業が「CPA至上主義」とも呼べる評価軸から抜け出せていない可能性を示唆しています。CPAは管理しやすい指標ですが、その内訳に不正クリックが含まれているのであれば、本来の意味での成果とは言い難い側面があります。
この課題の解消には、現場担当者の努力だけでなく、経営層が「対策による一時的なCPA上昇は、無駄な投資を排除した健全化のプロセスである」と適切に評価する文化を醸成することが鍵となるでしょう。クリーンな広告運用を社内外に明示することは、コスト削減にとどまらず、ブランドセーフティやガバナンス強化の観点から、競合との差別化要因になり得ると考えられます。
CPA以外の評価指標として、IVT率や有効クリック比率、最終コンバージョンの質といった補完指標を併用する設計を、いま検討する価値があるでしょう。
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調査概要
・調査主体:かっこ株式会社
・調査期間 :2026年4月
・調査機関:インターネットリサーチ
・調査対象:ウェブ広告運用に携わる担当者400名
※記載されている会社名および商品・製品・サービス名(ロゴマーク等を含む)は、商標または権利者の登録商標です。
関連リンク
プレスリリース・出典
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000222.000009799.html







