公開日:2021年12月14日 更新日:2022年03月10日
宣伝効果の高いポスターの作り方を徹底解説!
宣伝効果の高いポスターの作り方を徹底解説!
昔ながらのオーソドックスなPR方法ながら、現代でも多くの法人、官公庁が利用しているのがポスターです。比較的コストを抑えて製作でき、取り組みやすい広告・販促方法なのでさまざまなロケーションで活用されます。
今回の記事では、そんなポスターの宣言効果や作り方のコツなどを、成功事例も交えて解説しましょう。販売促進に携わるみなさんは、ぜひ参考にしてください。
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ポスターの宣伝効果
ポスターという印刷物は、そこに存在すること自体で不特定多数の人の目に触れ、情報を伝えられます。店頭や街頭、駅構内や電車の中に掲示することで、主体者の代わりとなってイベントや商品、サービスについて告知するツールです。
ポスターを活用した場合の宣伝効果は、主に以下の3つがあります。
●集客を促す効果
●購買意欲を高める効果
●低コストの販促という費用対効果
それぞれの効果を詳しく見ていきましょう。
集客を促す効果
ポスターはイベントやバーゲンセール、あるいは新規オープンする施設などの告知で集客を促す効果があります。多くの通行人の目に触れる場所に掲示すれば、それだけ集客効果が期待できるでしょう。
近々予定されているイベントの情報や、開始が近いセールの情報を事前にポスターで告知しておくと、認知度を高められます。
また、店先でポスターによって店舗のアピールを行い、店内へと誘導可能です。店内に足を運んだ人たちがその時は購入しなくても、パンフレットを手渡したりメールやSNSで情報を配信する流れを作ったりすることもできます。
特に飲食関係では集客アップがそのまま売上アップにつながるので、ポスターは有効な手段といえるでしょう。
購買意欲を高める効果
ポスターはイチオシの商品や新発売の商品を打ち出して、購買意欲を高める効果があります。購入を予定していた商品よりも上のランクを買ってもらう「アップセル」や、目的の商品以外にも併せて購入を促す「クロスセル」を狙うことで客単価のアップも可能です。
写真やキャッチコピーなどを最大限に活かしてアピールすることで、購買意欲をより一層高めることができます。
低コストの販促という費用対効果
ポスターは比較的低コストにて作成できるので、プロモーション効果を上げれば高い費用対効果が得られます。
また、ほかの広告物よりも手軽に作ることができるので、最新のトレンドや消費者の旬のニーズに合わせて、フットワーク軽く対応できるのが強みといえるでしょう。
絶えず変化するニーズに対応しつつ、宣伝効果を高めるためにターゲットや時期、想定できる使用シーンなどに合わせて細かくプロモーションを行うとさらに効果的です。
ポスターの作り方
ポスターの基本的な作り方は、以下の5つのフェーズに分かれます。
●フェーズ1:目的やコンセプトの確定
●フェーズ2:盛り込む情報の整理
●フェーズ3:情報をポスターに配置する
●フェーズ4:デザインを決める
●フェーズ5:ポスターとして仕上げる
順番に解説していきましょう。
フェーズ1:目的やコンセプトの確定
まず、手掛ける時点ではっきりしておくべき大切なことは、目的とコンセプトです。目的とは誰に何を伝えるか、コンセプトとはどのように伝えるかを意味します。
それをあいまいにしたまま進めると、途中で方向性に迷いがちです。
「誰に」とはターゲットで、これがはっきりイメージできればできるほど「何を」伝えるべきかが見えてきます。商品やサービスのどういった点が、そのターゲットの心に響くかということです。
それを突き詰めれば、どのようなコンセプトで伝えればいいかも自ずと見えてくるでしょう。
この段階でポスターのサイズも決めます。公共の空間で目立たせるためには大きほうがよいので、A1あるいはB2が望ましい大きさです。
フェーズ2:盛り込む情報の整理
次にポスターに盛り込む情報を整理します。ここでの注意点は、(わざと狙った例外もありますが)あれこれと事細かに文章で説明しないことです。ポスターは視覚媒体なので、文字ではなくビジュアルで伝えることをメインとしましょう。
フェーズ3:情報をポスターに配置する
整理された情報を配置するとき、特に考慮すべきはジャンプ率です。ジャンプ率とは画像や文字の、大小の比率を指します。この比率が大きいほど、インパクトを与えやすいのです。
とはいえ、ジャンプ率をあえて低くしたものが使われることもあります。インパクトには欠けても品格や説得力が出るので、じっくり読んでもらいたい内容には有効な手法です。
また、人の視線の動きは横書きなら左上から右下へと左右に読んでいく「Zパターン」、縦書きなら右上から左下と上下に読んでいく「Nパターン」という法則が当てはまります。
この法則をもとに、訴えたい情報ほど上または右に配置して、目線の動きに文章の流れを合わせると理解してもらいやすくなるでしょう。
フェーズ4:デザインを決める
情報をスムーズに伝えつつ印象に残るポスターにするためには、ターゲットが好みそうなデザインにすることが必要です。若年層や中高年層、性別や職業、趣味嗜好などの属性で、好みそうなデザインの傾向が異なります。
躍動感や高級感、ほっこりするような安心感やクールあるいはスタイリッシュな感覚などをターゲットに応じて使い分けましょう。
全体の色使いの大まかな目安としては、メインカラーが70%を占めサブカラーが25%、そしてアクセントカラーが5%です。サブカラーはメインカラーを補う色で、アクセントカラーはベースカラーおよびサブカラーとは色相と彩度が異なる色を選びます。
写真を使用する場合は、できるだけ鮮明に写ったものを選びましょう。綺麗なデザインでも写真がぼやけているとバランスが乱れ、あまり良い印象を与えません。
また、チラシやパンフレットと違ってポスターは面積が大きいので、情報をあちこちにばらまくと見る人を疲れさせてしまいます。
そこで効果的な手法が、軸を中央に置いて左右対称に画像や文字を配置するシンメトリー(対象)です。まとまりがあり、重要な情報が中央にあるので安定感をもたらします。
宣伝効果の高いポスターを作るためのポイント
ポスターの宣伝効果を高めるためのポイントは、主に以下の4つです。
●遠くからでもわかるデザイン
●興味を惹くキャッチコピー
●内容に合う掲示場所
●ほかの媒体に誘導
それぞれを、詳しく見ていきましょう。
遠くからでもわかるデザイン
ターゲットにとって有益な情報が詰まったポスターでも、前を素通りされれば意味がありません。そのために、遠くからでもわかるデザインにすることが重要です。
とはいえ、無理やり目立つ色を使うとか気を衒ったデザインにするのではありません。それは悪目立ちこそすれ、品位が下がるので相手にしてもらえないでしょう。
文字サイズや余白、色の濃淡などを使ってメリハリをつけ、メインの情報をすっきりと見やすくするのです。そうすれば品位を保ちつつ、遠くからでもわかるデザインになります。
興味を惹くキャッチコピー
ポスターはとにかく、ターゲットに興味をもってもらうことが重要です。そのためには、興味を惹くキャッチコピーが不可欠となります。見る人の中で、少なくともターゲットの範疇にある人の記憶に残らなければなりません。
また、ポスターの前を通過する数十秒間で「伝えたいこと」がわかることも大事です。情報があふれているなかで、伝えたい内容が一瞬で伝わるためには、ターゲットの関心が凝縮されたような言葉を紡ぎ出さなければなりません。
内容に合う掲示場所
ポスターは掲示場所の選定も重要なポイントです。多くの人の目に留まるために、通行量の多い場所や人が滞留している場所が基本的にはよいとされます。ただし、ポスターの内容や狙っているターゲットによって適した場所は変わるものです。
ターゲットが集まりそうなロケーションを選んで、掲示することが大切となります。その上で、人目を惹きつけるポイントに掲示しましょう。
屋外の場合は目線のやや下に掲示することで、歩行中でも目に留まりやすくなります。店舗に掲示する場合は、外壁の入口付近や入ってすぐの場所が見てもらいやすいでしょう。
別媒体に誘導
ポスターをポスターだけで完結させないのが、現代的な活用の仕方です。見た人がもっと情報を知りたくなるよう工夫し、WebサイトやSNSにURLやQRコードを記載してつなげると情報の奥行きが生まれます。
また、ポスターが気になっても急いでいてじっくり見る余裕がない人でも、QRコードがあれば速やかにスキャンして、接点として使ってくれるでしょう。
ポスターの宣伝事例
最後にポスターで大きな宣伝効果を上げた事例を厳選して、以下の3例を紹介します。
●HONDA「ステップワゴン」
●白川町観光協会
●神戸女学院大学
個別に見ていきましょう。
HONDA「ステップワゴン」
まずは、HONDAのミニバン「ステップワゴン」のポスターです。
出典:
KASHIWA SATO - CREATIVE DIRECTOR / SAMURAI INC. TOKYO
1996年から8年間続いた「ステップワゴン」キャンペーンの仕掛け人は、日本を代表するクリエイター佐藤可士和氏です。車のポスターはそれまで、スペックや機能を想起させる写真を用いた説明調のものが主流でした。
ほっこりするコピーと絵本を思わせるイラストで、車という「モノ」ではなく、家族で出かけるというかけがえのない「コト」を表現しています。スペックよりも世界観を徹して訴えるブランディング戦略にもとづいたポスターです。
そして、ステップワゴンはミニバン市場トップの座を獲得し、佐藤氏はこのキャンペーンで「日本のアートディレクション ADC賞」を受賞しました。
白川町観光協会
次に岐阜県の白川町観光協会のポスターです。
出典:
白川町観光協会ホームページ
見惚れるような美しい夜桜の景観で地域の魅力を伝える、観光PRの王道を行くポスターです。白川町の樹齢400年を数えるシダレザクラをこのポスターで知り、この地を訪れたという人も多くいます。
美しい夜桜を際立たせるために施された、フォントやレイアウトなどデザイン上の周到な配慮は見逃せません。
キャッチコピーや所在地、URLなど全ての文字情報は画面の端に寄せられています。またできるかぎり線の細いフォントを使い、見る人はまず夜桜に視線を向けるよう工夫されているのです。
セオリーから考えれば強調すべきキャッチコピーをあえて端に寄せ、景観の美しさを最大限に際立たせることに成功した好例といえます。多くの反響を呼び、2017年の日本観光ポスターコンクールのオンライン投票部門3位を受賞しました。
神戸女学院大学
最後に神戸女学院大学の電車内広告のポスターです。
出典:
交通広告を掲出します! | ニュース一覧 | 神戸女学院大学 - KOBE COLLEGE
最初はちょっとどきりとしますが、続きを読むと「女は大学に行くな、という時代があった」という趣旨がわかるコピーライティングです。
2017年のこのポスターは、女性をとりまく環境に変化が現れて選択肢が広がった時代にマッチした内容でした。女性の世界が広がった分だけ葛藤も増える時代を謳歌するための、「学べる幸福」を感じさせる秀逸なメッセージです。
文字だけのシンプルな広告にもかかわらず、SNSで大きな反響を呼びました。共感の声もあれば異を唱える声もありましたが、多くの人たちに大きなインパクトを与えたのは間違いありません。
ここまで見てきましたように、ポスターは目的とコンセプトを明確にしてそれに合うように柔軟かつ周到に作ることで宣伝効果が得られます。
販促担当者のみなさんはここで紹介したポイントを押さえ、時にはセオリーの裏をかきながらインパクトと波及効果を考えて、優れたポスターを製作してください。
ライタープロフィール
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