公開日:2021年11月16日 更新日:2023年09月15日
効果的なプロモーション施策とは、目的別に解説
効果的なプロモーション施策とは、目的別に解説
プロモーションはマーケティングの4Pの1つであり、それだけでも重要であることがわかります。マーケティングでは、プロモーションは販売促進と訳されることが多いでしょう。
ちなみにその他の3Pはプロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)です。
プロモーションは今、とても複雑な概念になっています。それは消費者のニーズが多様化したことから、商品やサービスが多様化し、さらにプロモーションの手段も多種多様になっているからです。
そこでこの記事では、プロモーションの基礎知識を確認したうえで、目的別にプロモーションを解説していきます。
プロモーションの役割
プロモーションの基礎知識として、その役割を確認しておきます。
企業活動のメインは商品やサービスを売ることになりますが、プロモーションはそれにどのように貢献しているのでしょうか。
売りやすくして、買いたくさせる
プロモーションの役割は、営業や販売の担当者が売りやすくすることです。そして、消費者や顧客に「買いたい」と思わせることです。
プロモーションがないと、営業担当者や販売担当者は売りにくいはずです。なぜなら、消費者や顧客が、その商品やサービスを知らないからです。
そしてプロモーションがないと、消費者はその商品やサービスを知ることができないので、「買いたい」と思うことができません。
プロモーションの仕事には、広告、宣伝、広報、販売促進などがあります。
プロモーションによって消費者や顧客がその商品やサービスをよいものと認識したら、売りやすくなり、買いたいと思ってもらえます。
BtoBとBtoCにわけて考えなければならない理由
プロモーションについて考えるとき、BtoB向けとBtoC向けにわけたほうがよいでしょう。
プロモーションとは誰かに訴える行為なので、訴える対象が違うと自ずとプロモーションの内容が変わってくるからです。
そして訴える対象である企業(B)と消費者や顧客(C)は、性質がかなり違います。そのため、BtoBプロモーションとBtoCプロモーションもかなり違ってきます。それで両者を一緒にして考えないほうがよいわけです。
ただ現在は、BtoB企業がBtoCビジネスを始めたり、BtoC企業がBtoB事業に専念したりすることは珍しくありません。
そのため企業のマーケターや営業担当者は、BtoBプロモーションもBtoCプロモーションも両方把握しておいたほうがよいはずです。
BtoB向けプロモーション施策
BtoB向けプロモーションの特徴は、企業の担当者に訴えかけることにあります。そのためBtoBプロモーションを仕掛けるマーケターや営業担当者は、企業が求めるものを考えながら企画を練っていく必要があります。
企業はどのようなプロモーションを求めているのか
企業の担当者は、自社の利益になるかどうかがすぐにわかるプロモーションを求めています。企業の利益には次のようなものがあります。
<企業の利益>
●売上高増
●純利益増
●顧客増
●コストダウン
●生産性の向上
●業務の効率化
●顧客満足度の向上
●有益情報
●最新技術の獲得
●他社との差別化
したがって、顧客企業にプロモーションをかけるマーケターや営業担当者は、「御社の利益を増やします」ということを真っ先に伝えなければなりません。
ホワイトペーパーが注目されている理由
BtoBプロモーションでホワイトペーパーが注目されています。ホワイトペーパーとは、自社の商品・サービスを紹介したり、自社の強みをアピールしたりする報告書です。ホワイトペーパーには、問題提起や解決策、製品情報などを盛り込みます。
ペーパーと呼ばれていますが、現在はPDFにしてデータで顧客企業に渡すのが一般的です。
ホワイトペーパーの特徴は、長くてもよいという点です。もちろん冗長であってはいけませんが、顧客企業に有益であると思える内容はすべて盛り込んでもよいでしょう。
ホワイトペーパーが長文でも問題ないのは、顧客企業の担当者は、自社の利益になる情報に「飢えている」からです。顧客企業の担当者が「これはいい」と感じたら、熱心に読み込むはずです。
逆にホワイトペーパーでは、イメージだけのもの、雰囲気だけのもの、格好いいだけのものは低評価になってしまうでしょう。
プレスリリースは有効
BtoBプロモーションでは、プレスリリースも有効です。
プレスリリースとは、新商品や新サービスを発売するときなどに、マスコミ各社に対して「このような商品・サービスができました」と案内するPR文章です。
マスコミの記者は、プレスリリースを読んで取材して、自社の媒体でそれを紹介します。
ソリューションを探している企業担当者は、経済ニュースを入念にチェックしているので、業界紙の小さな記事もしっかり読みます。
そのため、プレスリリースを配信して自社商品・サービスがマスコミに取り上げられることは、絶好のBtoBプロモーションになります。
BtoC向けプロモーション施策
BtoC向けプロモーションでは、消費者や顧客に「刺さる」企画が重要になります。なぜなら消費者や顧客は気分屋で気まぐれなので、普通のありきたりのプロモーションには見向きもしないからです。
消費者や顧客はどのようなプロモーションを求めているのか
消費者や顧客は、プロモーションの大きな柱である広告を嫌う傾向にあります。絶対的に嫌っているというわけではないのですが、多くの消費者・顧客は広告がないほうがよいと感じています。それは、広告がコンテンツを楽しむ行為の邪魔になっていることが多いからです。
例えば、楽しくテレビ番組をみているところに突如CMが流れると不満に感じる、といったことが起きます。
そのためBtoCプロモーションを担当するマーケターや営業担当者は、消費者や顧客を楽しませることを考えたほうがよいでしょう。
ただ、消費者はときに、強引に「この商品はよい」とPRしてもらうことを好むことがあります。
例えば、ある商品を買おうかどうか迷っている消費者は、その商品のメーカーの露骨な「この商品はいいですよ」というプロモーションに触れると、すんなり購入することがあります。このようなプロモーションでは、楽しませることより、消費者の実利をストレートに訴えたほうがよいでしょう。
AIDMAの各段階に応じたプロモーションが必要
消費者はAIDMAの過程を経て商品・サービスを購入します。そのためBtoCプロモーションでは、AIDMAの各段階で内容を変えたほうがよいでしょう。
AIDMAとは、アテンション(注意)、インタレスト(関心)、デザイア(欲求)、メモリー(記憶)、アクション(購買行動)の頭文字です。
BtoCプロモーションでは、Aプロモーション、Iプロモーション、Dプロモーション、Mプロモーション、Aプロモーションの5つのプロモーションを用意する必要があります。
●商品やサービスに知名度がなければ、消費者の注意を引く派手なプロモーションが必要
●知名度が浸透してきたのに話題になっていなければ、
消費者の関心を高めるプロモーションが必要
●知名度が高いのに売れていなければ、消費者の欲求を引き出すプロモーションが必要
●以前は売れていたのに、最近売上が低迷していれば、
消費者の記憶を呼び起こすプロモーションが必要
●消費者が欲しがっているのに売上が伸びていなければ、
消費者の背中を押すプロモーションが必要
このようにBtoCプロモーションでは、柔軟にプロモーションの形態や内容を変えていくことが、マーケターや営業担当者に求められます。
ツールを使いわける
気まぐれな消費者と顧客を振り向かせるには、プロモーション・ツールをいろいろ試してみることが有効です。
テレビCM、雑誌や新聞の広告、屋外看板、SNS、イベント、キャンペーン、ポイント、メーリングなど、プロモーション・ツールは多種多様です。
ツールを変えただけでそれまで刺さらなかった層にリーチできた、といったことは珍しくありません。
プロモーション施策の成功事例
プロモーションの成功事例を紹介します。
BtoBプロモーションの成功事例
優れたBtoBプロモーションとして、NECが作成した「NEC技報」を紹介します(*1)。NEC技報は、論文や技術導入事例などを掲載した報告書であり、NECグループの製品・サービス紹介冊子でもあります。
例えばNCE技報の2021年8月号は社会インフラを紹介していて、次のような構成になっています。
<NCE技報・2021年8月号の構成>
●社会システムのDXを実現する技術 ~ 政府・行政サービスのDX
●社会システムのDXを実現する技術 ~ 放送システムのDX
●社会システムのDXを実現する技術 ~ 空港のDX
●社会システムを支えるセンシング技術 ~ 見えないところで活躍するセンシング技術
●社会システムを支えるセンシング技術 ~ 検知と認識のセンシング技術
●未来の社会を支える最先端技術 ~ 社会に浸透してゆく先端技術
●未来の社会を支える最先端技術 ~ 宇宙で活躍する先端技術
「空港のDX」では、コロナ禍を受けて、NECが空港に税関検査場電子申告ゲートを提供した事例が紹介されています。税関検査場電子申告ゲートを導入した空港では、混雑の緩和や入国旅客の円滑な入国、待ち時間の短縮につながった、とPRしています。
この1冊をつくれば、政府や行政の担当者にも、テレビ局の社員にも、空港職員にも、宇宙事業の開発者にもNEC製品をプロモーションすることができます。
参考:
Vol.74 No.1 安全・安心・公平・効率を提供する社会インフラ特集
BtoCプロモーションの成功事例
日本コカ・コーラ(以下、コカ・コーラ)は、チューハイ・サワー市場の最後発組でありながら、レモンサワーの「檸檬堂」を大ヒットさせました(*2)。
しかもコカ・コーラにとって、これが初めてのアルコール飲料になります。コカ・コーラがデビュー戦の初打席の初球でホームランを放つことができたのは、もちろん味がよいということもありますが、プロモーションがよかったからでしょう。
チューハイ・サワーといえば、グレープフルーツ、オレンジ、キウイ、桃、お茶、梅などたくさんの味が楽しめるのが売りになっていますが、コカ・コーラはレモン味しか出しませんでした。
その代り檸檬堂は、アルコール度数や風味を変えて、5種類のレモンサワーをラインナップしています。
これだけこだわることで、消費者に「単なる他社の後追いではない」と感じさせることができます。
檸檬堂の開発者は「最後発だし、他社と同じことをしても勝てないと思った」と振り返っています(*2)。
この戦略をAIDMAに当てはめると、コカ・コーラの酒は知名度がなかったのでアテンション・プロモーションになりますし、消費者の関心はゼロだったのでインタレスト・プロモーションにもなり、そして、レモンを覚えるだけでよいのでメモリー・プロモーションともいえます。
参考:
「檸檬堂」やバルミューダの家電、最後発で勝てるワケ
まとめ ~「知りたい」に応える気持ちで~
プロモーションでやってはいけないことは、独りよがりになることです。マーケターや営業担当者が、どれだけ自社商品や自社サービスにほれ込んでいたとしても、それを前面に出すことは避けたほうがよいでしょう。
プロモーションを企画するときに重要なことは、プロモーションを見聞きする人の気持ちです。顧客企業や消費者が知りたがっていることを予測して、その欲求に応える内容をプロモーションに盛り込むとしっかりPRできるはずです。
「それが知りたかった」「これは我が社にメリットをもたらしそうだ」と思わせることを意識しながらプロモーションをつくっていってください。

ライタープロフィール
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メディアレーダー 運営事務局株式会社アイズ
- 広告・マーケティングに特化した媒体資料のポータルサイト「メディアレーダー」のマーケティング担当。
BtoBマーケティングを始め、Web広告やリード獲得目的の施策を展開中。
「めでぃつぶ」では、広告業界の方、マーケター必見のマーケティング知識・ノウハウを発信しています。
メディアレーダーについて詳しく知りたい方はこちら
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