公開日:2021年09月17日 更新日:2021年12月23日
マーケティングでの「分析」の重要性。手法と事例の紹介
マーケティングでの「分析」の重要性。手法と事例の紹介
マーケティングにおける「分析」とは
マーケティングを行う最大の目的は
「自社の製品やサービスの売り上げとシェアの拡大」です。
この目的を達成するためには効果的な戦略を立てることが求められます。
効果的な戦略を立てるためには
市場の動向や顧客の性質を正確に把握することが必要不可欠といえるでしょう。
では、市場の動向や顧客の性質を把握するにはどうすれば良いのでしょうか。
それはさまざまなデータを集め客観的に分析を行うことです。
マーケティングにおける分析とは、この目的を達成するための戦略の立案に欠かせない要素といえるでしょう。
マーケティングでの分析のフレームワーク
マーケティング分析は主に
「顧客」「市場 (競合)」「自社」の3つの要素を分析します。
分析結果を基に顧客のニーズや市場のおける自社の立ち位置・独自性が把握できます。
分析に用いられるフレームワークは多くありますが、今回は基本である3つのフレームワークについて解説していきます。
4P分析
別名「マーケティングミックス」とも呼ばれるフレームワークです。
「Product (製品)」「Price (価格)」「Place (流通)」「Promotion (販促)」の4つの要素で構成されています。
では、具体的にマーケティングのどういった場面で使われるのでしょうか。
4P分析は製品のリリース前に活用されます。
実行段階の直前であることから「実行戦略」とも呼ばれています。
SWOT分析
自社を取り巻く外部環境と自社の内部環境を強み・弱みの2つの側面から分析するフレームワークのこといいます。
SWOT分析に用いる要素は以下の4つです。
・Strong(強み)
・Weakness (弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat (脅威)
これらの要素を組み合わせたパターンで分析を行います。
SWOT分析は具体的な施策を検討する前段階で活用されることが多いフレームワークです。
しかし、問題点があいまいな状態では主観が入りやすいので活用の際には注意が必要となるでしょう。
STP分析
STP分析は主に市場における競合他社と自社の関係性を分析する際に活用されるフレームワークです。
・Segmentation (セグメンテーション)
・Targeting (ターゲティング)
・Positioning (ポジショニング)
これら3つの視点から市場や顧客、自社の立ち位置を把握することができます。
これにより、競合他社と比較して自社の強みや改善点などを洗い出すことが可能になります。
STP分析は新規市場の参入や新製品の開発など、さまざまなシーンで活用が可能です。
マーケティングでの分析の方法
マーケティングで活用される基本的なフレームワーク3つの特徴について解説しました。
ここからは3つのフレームワークの分析方法やポイントについて詳しく解説していきます。
4P分析の分析手法
4P分析は以下の順で行います。
Product (製品)→Price (価格)→Place (流通)→Promotion (販促)
4P分析は4つの要素から構成されています。
・Product (製品)…どのような特徴があるのか、どんな人にメリットがあるのか
・Price (価格)…市場において適正な価格であるか・十分な利益が見込める価格であるか
・Place (流通)…どのような流通形態にするのか
例)実店舗型もしくはEC型など
・Promotion (販促)…どのようなプロモーション活動が顧客の獲得に最適なのか
これらの要素を分析することでマーケティング戦略に最適な分析ができることでしょう。
4P分析を行う際の注意点
各要素の分析を行う上で押さえておくべき重要なポイントがあります。
ここでは要素別に押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。
Product (製品)
Product (製品)の場合、自社の製品やサービスが消費者のニーズを満たしているかが需要なポイントとなってくるでしょう。
そのためには事前にマーケティングリサーチを行い、消費者のニーズを把握する必要があります。
どんな機能でどんなデザインなら使いやすいのかを徹底的に調査を行いましょう。
その上で、競合他社との差別化を図るための独自性についても調査を行う必要があるでしょう。
Price (価格)
Price (価格)でポイントになるのが、利益を確保しつつ消費者にとって手の届く価格であるかどうかです。
通常、製品の販売価格は製造・販売に掛かるコストに利益を上乗せした価格を設定します。
コストや利益を度外視した製品は多く売れますが、企業の経営はたちまち立ち行かなるでしょう。
反対に利益を重視した価格では、売り上げを上げることはできません。
こうしたバランスが取れた価格を適正価格といいます。
価格の設定を行う際は消費者の手が届きやすく、なおかつ一定の利益が見込める価格帯にすることが重要になるでしょう。
Place (流通)
流通方法の考え方には大きく分けて2つの方法があります。
1.実店舗での販売
2.Webや電話を利用したECでの販売
実店舗のメリットは顧客とコミュニケーションが取れやすいことです。
密な関係性が築けるのでコアなファンを獲得しやすいのも特徴といえるでしょう。
デメリットは販路が限定されることや家賃などが掛かるためEC店舗に比べてコストが掛かるなどがあります。
EC店舗のメリットはWebサイトを利用することで広く販路を拡大させることが可能なことです。
デメリットは競合が多く集客に多額のコストが掛かることや経営が安定するまで時間が掛かることが挙げられます。
自社の特性に合わせた流通経路の選定は事業の成功につながるでしょう。
Promotion (販促)
効果的な販促方法のひとつとして広告を活用した販促があります。
広告はTVや新聞などのマスメディアを活用したものからSNSなどのWebサイトまで多岐に渡ります。
こうした広告を活用する際は自社のターゲットに合った広告を利用することが重要になります。
また、競合の多い市場でのシェア拡大を狙うのであれば自社ならではの独自性を打ち出すことも必要といえるでしょう。
SWOT分析の分析手法
SWOT分析は最初に外部の環境分析から行います。
これは市場の状況を把握することで、現在自社が置かれている現状を分析することができるからです。
自社の置かれている状況を把握した後、内部環境である強み・弱みの調査に移ります。
すべての調査が終わったら、それぞれの要因別に分析を行います。
分析は以下のように各要素を組み合わせて行うことになるでしょう。
・Opportunity(機会)×Strong(強み)
・Opportunity(機会)×Weakness (弱み)
・Threat (脅威)×Strong(強み)
・Threat (脅威)×Weakness (弱み)
このように各要素を組み合わせて考えることをクロスSWOT分析といいます。
クロスSWOT分析を行うことでそれぞれのフェーズにおいて最適な戦略を立案することが可能になるでしょう。
SWOT分析を行う上での注意点
SWOT分析を行う上で重要なポイントについて解説していきます。
SWOT分析で注意するポイントはOpportunity(機会)とThreat (脅威)を正確に把握しておくことです。
市場は政治や経済の情勢に合わせて絶えず変化しています。
この変化の波に乗ることができれば、ビジネスの機会が広がり大きな成長を遂げることができるでしょう。
その際、外部環境を分析するフレームワークであるPEST分析を活用するとよいでしょう。
PEST分析は政治や経済などの社会的要因を分析する手法です。
PEST分析を活用することで分析に必要なデータを収集することが可能になるでしょう。
これにより環境の変化に対応したビジネスを行うことが可能になります。
STP分析の分析手法
一般的にSTP分析は
S→T→Pの順で行います。
具体的な分析のプロセスは以下の通りです。
・セグメンテーション…市場の特性や顧客ニーズを洗い出し
・ターゲティング…セグメンテーションで得られたデータを基に自社の製品やサービスに合致するターゲットを選定
・ポジショニング…他社の企業規模や製品と比較し、自社の強みを生かしたマーケティング戦略を立案する
STP分析を行う際は売り手である自社の視点ではなく、買い手である顧客の視点から分析を行うようにしましょう。
STP分析を行う上での注意点
STP分析はマーケティング全般に有効なフレームワークです。
特に新規市場への参入やシェア拡大に効果を発揮します。
新規市場の参入を成功させるためには市場の動きや顧客の特性を正確に把握することが最も重要になります。
また、競合の多い業界では他社との明確な差別化を図ることも必要になってくるでしょう。
自社の置かれている立ち位置を理解することでこれらの課題を解決が可能になります。
特にセグメンテーション・ターゲティングは課題解決に重要な意味を持っています。
ここでは要素別に押さえておくべきポイントについて詳しく解説します。
Segmentation (セグメンテーション)
セグメンテーションとは顧客や市場をさまざまな切り口で細分化し、特性を把握するために行います。
市場調査やマーケティングリサーチと呼ばれる手法などもセグメンテーションのひとつといえるでしょう。
セグメンテーションでは人口統計変数や地理的変数などを利用し、市場や消費者の基本的な属性を探ることができます。
また、消費者の嗜好や行動の特性を把握することで自社の製品の購入までのプロセスを明確化することも可能になります。
Positioning (ポジショニング)
ポジショニングとは市場の中で自社の立ち位置を明確にすることです。
具体例として競合との差別化や独自性の打ち出しを指します。
例えば、価格や機能、製品ラインアップなどがこれにあたるでしょう。
また、自社ならではの独自の技術を持っている場合はそれだけで会社の価値を高めることができます。
仮に価格や機能など面で他社との差別化が難しい場合は別の対策を検討する必要があるでしょう。
こうした場合、Webマーケティングを活用すると良いでしょう。
消費者にとって役立つコンテンツを作成し提供することも他社との差別化につながります。
こうした活動は会社のブランドを高める効果があり、一般的にブランディング施策と呼ばれています。
マーケティングでの分析の事例
実際にマーケティング分析を活用し成功を収めた企業の事例を3社ご紹介します。
ご紹介する3社には共通点があります。
それは自社の特性を最も生かすことができるフレームワークを選定していることです。
フレームワークごとに企業の成功事例について詳しく解説していきます。
4P分析の活用事例:スターバックス
世界規模で事業展開している大手コーヒーチェーン店です。
スターバックのマーケティング戦略は4P分析を生かしたプロダクト施策が特徴です。
世界最大のチェーン店ですが、それぞれの国に合わせた商品展開を行っています。
例えば、日本で販売されているショートサイズは海外の店舗では存在しません。
これは日本人ならではニーズを満たした結果といえるでしょう。
また、広告などの宣伝活動を行わないのも大きな特徴です。
口コミ効果を利用することで、自社のブランド価値を高めさらに上質なファンの獲得に成功しています。
SWOT分析の活用事例:トヨタ自動車
国内最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車は海外でも高い評価を受けています。
その背景にはswot分析によるマーケティング戦略の実施が大きく関係しています。
国内外の市場の機会や脅威について徹底的に分析を行いました。
その結果、海外市場のトレンドである自動運転に着目。
自社の高い技術を生かした製品を開発し営業利益を得ることに成功しました。
また、弱みであった軽自動車の開発にも力を注ぐことで課題の解決を目指しました。
その結果、車離れが進む国内でも使い勝手の良いコンパクトカーの販売シェアの獲得に成功しました。
STP分析の活用事例:ユニクロ
ユニクロは年齢・性別、国籍を問わず幅広い層から人気のアパレルブランドです。
競争の激しいアパレル業界で不動の地位を築いた影にはSTP分析による独自のポジショニングが大きく影響しています。
誰もが使える日常着をテーマに独自の技術を開発。
ヒートテックやエアリズムなど高機能の製品を低価格で提供することで多くのファンを獲得しました。
これは常にトレンドを追うアパレル業界のセオリーと真逆の発想と独自性を追求した徹底したポジショニングを行った成果といえるでしょう。
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