公開日:2023年12月13日 更新日:2023年12月14日
人流データで何ができるのか?特徴や事例も合わせて解説
人流データで何ができるのか?特徴や事例も合わせて解説
人流とは
人流とは、街の中で人がどこをどう通って動いているのか、人の流れを統計的に分析することです。どこに人が集まっているのか、どのような交通手段が多く使われているのかなどを知ることで、マーケティングなどにも多く活用することができるため、最近注目されています。
人流データが注目されている理由
人流データが今注目されている理由について、詳しく紹介します。どのような点で注目されているのか、理由を知っておくといいでしょう。
位置情報技術が発達した
多くの人がスマホを持ち、個人の位置情報が分かるようになってきたことも一因です。GPSは人工衛星によって位置情報を取得しているものです。技術が発達してきたことで、正確な人流データが取得しやすくなり、活用しやすくなっているのが理由の一つです。
学術・研究分野でも活用できる可能性がある
人流を調べることで、マーケティングなどのビジネスに利用されるだけでなく、道の整備や交通手段について考えたり、環境や防災計画などを考えたりすることもできます。学術・研究分野でも大いに活用できる可能性があることも注目されている理由の一つです。
大量のデータの分析が容易になった
また、カメラなどで映し出される画像からも、人流が分析できるようになっています。どれくらいの人がいるのか、またそれぞれの属性なども分析できるようになり、大量のデータの分析ができるようになったことも人流分析に一役を買っています。
AIによって大量のビッグデータの分析が簡単になったことも挙げられるでしょう。
人流データ分析についての資料まとめ
ここでは人流データに関する資料をいくつかピックアップしています。参考にできそうな資料がございましたら、ぜひダウンロードしてご確認くださいませ。

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人流データを活用するメリット
人流データを活用することで、様々なメリットがあります。次のようなことに活用することが可能になってきています。
その場の状況をリアルタイムで確認できる
人流がわかることで、リアルタイムでどのような人の流れがあるのか、混雑状態がわかって、リアルな対応ができることが大きなメリットです。
今必要なニーズをキャッチすることができるでしょう。どのような属性の人がどれくらいいるなどがリアルタイムで確認できれば、それに対応した商品やサービスを提供することができます。
ピンポイントな情報を得られる
これまでは広い地域、エリアでしか対応できなかったことも、ピンポイントで人流がわかることで、個々の状況に合わせた対応ができるのがメリットです。
店舗の近くや分析したい地域を限定して、細かなエリアを選択した上で情報が得られるようになりました。直接的で、限定的なピンポイントの情報が活用できるようになっています。
過去のデータとの比較が容易にできる
リアルな人流データをずっと取得していけば、それらを過去のデータと簡単に比較できるようになるのもメリットです。正確なデータを蓄積していくことが簡単にでき、比較も楽になり、正確な統計なども取りやすくなっています。
潜在顧客の獲得につながる
実際の集客に繋がらなかった場合も、潜在的な顧客がその場に多くいたことなども人流データで分析できるメリットもあります。どこに潜在顧客がどのくらいいたのかなどを分析して、対策や改善に活かせるためおすすめです。
また、人がどういう行動パターンを取るのかが細かく分析できることで、潜在顧客の分析もしやすくなります。
行動が予測しやすくなる
リアルタイムの人流がわかることで、次にどのようになるのかなどの判断、予測もしやすいのがメリットです。それぞれの行動パターンの細かな変化もわかり、様々な人流の統計も取れ、どのようなケースでどのような人流になるのかを予測できるため便利です。
人流データを活用するデメリット
人流データを活用するメリットは大きいのですが、デメリットもいろいろあり、課題もあります。次のようなデメリットもあることを知っておいてください。
専門知識が必要
人流データを分析して有効に活用するには、専門知識が必要です。人流データを収集する方法を考え、データ解析のためのシステム導入などをするためには専門知識が大事です。
AIを有効に活用できる専門知識を持つことが大切になります。
個人情報漏洩に気を付ける
また、人流データを活用するということで、様々な個人情報が多方面に漏洩しないように気を付ける必要があります。プライベート的な情報を分析した場合、それが漏洩しないように細心の注意を払って、データを分析するよう気を付けなければなりません。
確実に効果が出るかわからない
人流データは、データを分析することでリアルな顧客の動向を知ることができていいでしょう。しかし、それだけで確実に顧客分析ができるわけではありません。
すぐに集客や売上アップなどに結びつかないこともあります。他の様々な情報やアンケートなどと併用して分析することも必要です。
人流データを活用する流れ
人流データを実際に活用するにはどうしたらいいのかも具体的に紹介しますので、参考にしてください。どのようなデータを取得するのか、またそれをどう活用するのかについて流れを見ていきます。
目的に沿う人流データの検討
人流データを取得しようとする際には、目的をまず明確にするといいでしょう。どのような目的のためにデータを集めようとしているのかをまず明確にしてください。
「どこの場所やルートからの利用者が多いのか」「日時による人の流れがどうなっているのか」を調べたいなどを明確にしておくのがいい方法です。
取得・作成
人流データの取得方法は様々な方法がありますので、どのような方法で、人流データを取得するのか、どんなデータを取得するのかを決めておきます。どんな機器を使ってデータを取得するのかを決めておいてください。
また、それによって、取得・作成するデータの個人情報の取り扱いを考える必要があります。データの取得方法は早めに決めることがおすすめです。
分析・活用
人流データを分析し、視覚化するようにします。ただ、分析方法によってはそれほど精度がいいデータが得られない可能性もあります。他の統計情報や地理空間情報、購買情報やアンケート調査などと併用して分析することも大事にしてください。
管理・提供
そして、取得した人流データの取り扱いには慎重な注意が必要です。しっかりと管理をしておかなければなりませんので、業者に依頼する場合は注意をしてください。
データ自身を納品してもらうのか、分析結果や報告書だけを納品してもらうかを明確にしておいてください。データの管理についてはしっかりと協議しておくことが大切です。
人流データを取得する方法
人流データを取得する方法について、次に具体的に紹介します。次のような方法で取得することが可能で、取得方法によって、どのような範囲の人流データを取得できるのかが変わりますので、特徴も知っておくといいでしょう。
GPSデータ
GPSデータでは、スマートフォンを始めとしたものから、位置情報を測位衛星から取得して把握できるようになっています。広範囲でかつ数m単位の小さな誤差で、位置情報の取得が可能です。
ただし、GPSデータでは屋内や地下、高層ビル街などの天空が開けていない場所では衛星からの測位が困難なため制度が落ちますので注意してください。
また、スマートフォンのアプリケーション経由でデータを取得する場合にはユーザーからの情報提供・利用許諾も必要なため気を付けてください。
Wi-Fiアクセスポイント
スマートフォンなどからの電波(Wi-Fi、Bluetooth)を機器(Wi-Fiパケットセン サー、BLE ビーコン)が受信して位置情報を把握する方法です。
機器で受信できる範囲内での情報ですので、位置情報としてはあまり正確ではないものと言えます。範囲は、計測対象者がスマートフォンを手に持っていたり、カバンに入れていたりすることで数m~100m位まで検知できます。受電する機器の設置密度や受信する電波強度などが必要なため、事前に環境調査や調整をするといいでしょう。Wi-Fiアクセスポイントがどこにあるのかも調べておくことが大切です。
携帯電話の基地局データ
スマートフォンが基地局と交信している履歴情報をもとに、人流データを取得することも可能です。基地局の設置間隔次第のため、250m、500m、メッシュなどで精度が異なります。
ただし、各キャリアの利用者を対象とするため、母集団が大きくなる点がメリットです。その点では高い精度の分析ができます。また、スマートフォンのGPS機能がオフでも、情報を取得できる点がおすすめです。
ビーコン
ビーコン「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した端末でデータを取得することができます。スマートフォンアプリがビーコン電波をキャッチして位置情報を取得することが可能です。ただし、あらかじめビーコンの設置場所情報を登録しておく必要があります。
最大100m程度と範囲が限られますが、範囲内での精度は比較的高く、地下や高層階などGPSが苦手な場所もカバーできる点がおすすめです。ただし、利用できるビーコン端末があること、ビーコン電波をキャッチするスマートフォンアプリを通して利用許諾がとれている&BluetoothがONになっていることなど条件が多くなります。
人流解析サービス5つ
人流解析をしてくれるサービスもありますので、紹介します。これらのサービスを利用して積極的に活用してみるのもおすすめの方法です。
人流アナリティクス
クラウドサービスを活用して人流データを見ることができるサービスです。分析をしたいエリアをピンポイントに10か所選んで調べることができます。
店舗名・施設名・建物名から検索して登録したり、地図上で自由にポリゴン(多角形)を描いてエリアを登録したりすることも可能です。
また、分析処理の高速化で、前日までの人流が素早くわかるのも嬉しい点です。日ごと、時間ごと、時間帯ごとに調べ、分析地点と曜日・時間帯、どのくらい離れた所から来訪しているのか、来訪者数ランキングマップなども可能ですので、有効にデータが使えます。
BIPROGY株式会社
カメラが撮影した動画から、人の動線や人数、年齢や性別などの情報を可視化し解析できるサービスです。カメラが撮影した人の流れから分析し、現状の把握、状況の予測、施策の効果測定などに活用できます。
人数のカウント、滞留の検知、属性分析を行うサービスで、映像を含まない解析後のデータのみをクラウド上で可視化し、分析可能です。個人情報への配慮がなされています。
滞留の検知では、一人ひとりの動きを平面図上にマッピングでき、混雑の課題などが解決できます。
また、属性分析では、性別や年齢などを解析し、人数の集計データをグラフ化して、その地域の人流の属性分析が可能となっています。
BizxaaS Map
位置情報のビッグデータの横断解析によって、道路単位、施設単位での人流を分析、予測できるサービスです。特定エリアの属性や人流予測が可能なことにより、飲食店などでの仕込み量の調整やその日の来店数の推移などが予測できます。
店舗周辺のリアルタイムの人流データを活用して、人々の行動の予測ができ、店舗などの発注・在庫管理・シフト管理が可能です。フードロスの削減、機会損失の削減もできるようになります。
API連携によって、これまでの既存システムに繋げて利用できるシステムとなっているため便利です。
株式会社unerry
GPS、ビーコン、IoTセンサーを活用して、屋外、地下、館内、店舗、イベントなどの人流データのビッグデータを集めることができるサービスです。それらのビッグデータから、混雑状況や来店可能性、移動手段やシチュエーション、訪問傾向などを分析できます。
店舗やイベント会場などの混雑状況を可視化して対策することが可能です。また来訪可能性の高いターゲットやタイミング、場所を見極められます。人々の回遊、滞留、競合来訪、日常行動なども分析して、積極的なマーケティングが目指せておすすめです。
X-Locations
観光地やイベント会場の人の流れを見える化し、来訪者を分析するサービスです。スマートフォンの位置情報から多くのデータを分析しています。
来訪のピークタイムや属性を把握し、外来者や旅行者の動向に着目した調査・施策が可能となるサービスです。都道府県・市区町村別来訪比率機能などもあり、細かく属性を分析できておすすめです。全国で主要な観光地の人流データなども取得可能となっています。
人流データの活用事例
人流データの実際の活用事例について紹介しますので参考にしてください。次のような企業で積極的に活用されています。
株式会社小田急百貨店
小田急百貨店では、鉄道会社のグループ会社でもあることから、顧客との関係を深めることに努めています。顧客ニーズや見込み客の居住地・行動傾向を位置情報解析から把握しています。
小田急百貨店ではクロスロケーションズの「Location AI Platform」 を導入。国内最大級のボリュームのロケーションデータから分析し、百貨店の全来館者の行動傾向・買い回り傾向の可視化を図っています。
以前には、GIS(地理情報システム)を検討していましたが、実際に店舗に訪れたことがある人をベースにした分析、リアルな消費者の行動傾向の分析のため、新しいシステムを導入。
「Location AI Platform」で、膨大な位置情報ビッグデータから店舗利用客の買い回り傾向を解析し、過去の行動傾向との変化や移り変わりの把握も可能となっています。その結果、これまで知ることのできなかった消費者行動の傾向も分析しています。
イベント毎のお客様の行動傾向、各店舗の実勢商圏とポテンシャルエリアの分析、近隣オフィスビル勤務者の行動傾向の分析にも成功。お客様の潜在的な嗜好性やトレンドも見つけられ、お客様にどのような情報提供をいつ・どこで行えばいいかを考える際に有効に役立てています。
伊藤ハム
伊藤ハムでは、「Beacon Bank AD」を活用しています。月間300億件以上のリアル行動ビッグデータを元にAI解析し、適切な配信エリアやターゲットを見つけて広告をしています。
人流データ×ID-POSデータの活用で、購買タイミングに近いお客様との接点を作ることに成功。お客様の行動データを活用することで、ひとりひとりにあった情報を届けることができ、集客や売上アップに成功している例です。
ID-POSデータは、単なるPOSデータではなく、顧客属性・購買行動も含めたデータです。「Beacon Bank AD」は、特定のチェーンのID-POSデータを、個人を特定しない形でAI解析し、購買履歴等に基づいた広告配信を行うシステムとなっています。
この分析を活用して広告を配信することで、新規顧客、休眠顧客の開拓に成功しています。
ライタープロフィール
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メディアレーダー 運営事務局株式会社アイズ
- 広告・マーケティングに特化した媒体資料のポータルサイト「メディアレーダー」のマーケティング担当。
BtoBマーケティングを始め、Web広告やリード獲得目的の施策を展開中。
「めでぃつぶ」では、広告業界の方、マーケター必見のマーケティング知識・ノウハウを発信しています。
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