殺虫剤などを取り扱うアース製薬株式会社は、2021年6月4日の虫の日にちなんだ広告を新聞に掲載しました。これは、「閲覧虫意」と大きくデザインされた広告で、真ん中にQRコードが記載されているもので、QRコードを読み取ると、身近にいる危険な虫を3種類紹介し、AR体験が出来るものとなっています。そもそもアース製薬では2017年に「殺虫剤」という表記を「虫ケア用品」に呼称変更し、同年の6月4日を虫ケア用品の日として登録しています。危険な虫から身を守る術をAR体験で伝えるとともに、「閲覧虫意」とうたう一方で広告デザインには文字だけで虫は一切出てきません。このインパクトを与えたキャッチコピーは、多くのユーザーに響いた結果になりました。
出典:6(ム)月4(シ)日は『虫ケア用品の日』閲覧虫意!!/PR TIMES
新宿や渋谷、銀座に店舗を構え、オンライン診療も行っている美容クリニックのにしたんクリニックは、2021年5月から行っているテレビCM内でのキャッチフレーズである「たん、たん、にしたんクリニック」の世界観をそのままに渋谷駅に大型広告を掲載しました。耳に残るユニークなフレーズをそのまま屋外看板にも掲載することで、ユーザーも自然と口ずさみ記憶に残る傾向が強くなります。さらに、渋谷駅のハチ公前にある渋谷ビッグシートファイナル、渋谷ビッグシートファイナル中段、渋谷憲章ボード、ハチコーボードの4つの面をジャックすることで、渋谷駅のどこを見渡してもにしたんクリニックの広告が表示されるようになりました。その結果、SNS上でも話題になり、広告が表示された看板を撮影して投稿するユーザーも多く見られました。
出典:にしたんクリニックが渋谷大型広告4面ジャックを開始/PR TIMES
「斬新」な面白い広告
新宿に現れた巨大猫 / クロス新宿ビジョン
2021年7月に、新宿駅の東口にあるクロス新宿ビジョンで放映された巨大な猫の動画が話題になりました。クロス新宿ビジョンは、株式会社マイクロアドデジタルサイネージと株式会社ユニカが共同運営する屋外ビジョンで、湾曲されたディスプレイを活かし、3D動画などの最新の技術を駆使した広告表示が可能です。先ほどの巨大な猫は、この屋外ビジョンの仮放映期間にテストとして放映されたコンテンツでしたが、愛くるしい猫の動きと3Dで表示された巨大な姿に未来を感じ、巨大な猫を一目見ようと多くのユーザーが集まりました。
また、同じく渋谷と大阪の道頓堀にも3D映像を使った広告が展開されました。これは、頭髪治療のクリニックを展開するDクリニックが、お笑い芸人のナインティナインを活用して展開したもので、渋谷の「シブハチヒットビジョン」と道頓堀の「ツタヤエビスバシヒットビジョン」に掲載されました。3Dを活用した屋外広告は、中国では一足先に展開されていましたが、日本でも今後増えてくることが期待されています。
出典:「巨大猫」3D動画が世界に拡散された『クロス新宿ビジョン』/PR TIMES
墾田永年私財法ってなに? / 明治プロビオヨーグルトR-1
株式会社明治が、明治プロビオヨーグルトR-1の広告として展開した手法も話題となりました。これが、2021年2月に渋谷駅のハチ公前に掲載された「墾田永年私財法」です。もともとは、ラジオで放送していた「集まれ!悩めるすべての受験生!『受験生は夜悩む Presented by 明治プロビオヨーグルトR-1』」の中で、受験生からの声を集めたものをネタとして掲載したものですが、大きな文字で「墾田永年私財法」とだけ表示された広告は、受験生を中心に非常に大きな話題となりました。その他にも「移動する点P」「3は裏切らない」といったものもありますが、この広告が注目を集めた背景には2月3日に発信された東京都総合防災部のツイートもありました。当時渋谷駅でソーシャルディスタンスを訴える職員を掲載したものでしたが、その背景に「墾田永年私財法」が大きく映り込み、多くのユーザーの目にふれる機会となりました。SNS発信において、いつどこで何がバズるのか分からないことが分かる一例ともいえるでしょう。
出典:「ひとりじゃない!」 明治R-1が孤独や不安を感じる全ての受験生に贈る 思わずほっこりする“受験生あるある広告”/PR TIMES
日本で有名な面白い広告
リアルとSNSと動画を組み合わせた広告展開
医薬品の製造販売を主に行う大塚製薬が、2021年に同社のカロリーメイトを訴求するために作成した動画も注目を集めています。カロリーメイトのCMでは、時代の流れに合わせ受験生を応援するPRを常に続けていますが、コロナウイルスの中で受験に挑む学生を応援するため、「#受験メイト2021」というキャンペーンを実施しました。SNSによって全国の受験生からの想いや写真、動画などを募集し、その中から受験に対する自信につながるような動画を選定して制作していきました。オンラインで集めた写真や映像を素材に使い構成するアプローチは、コロナ禍ならではの手法として注目されました。
出典:カロリーメイト「#受験メイト2021」キャンペーンスタート!/PR TIMES
アパレルメーカーのCalvin Kleinは、以前より面白いプロモーションを打ち出すことで注目を集めていますが、2016年から若年層向けにInstagramを活用したキャンペーンを展開しています。これは、Instagramの中で「#MyCalvins」というグローバルキャンペーンを促進させるため、ハリウッドスターやモデル、ミュージシャンといったセレブに対して、Calvin Kleinの衣装や下着を着用してもらい、「I ___ in #mycalvins.(私はカルバンを着て〇〇する)」という穴埋めをしてもらう大喜利のような企画です。この企画に賛同したセレブの中で、特にインパクトが高かったのがミュージシャンのジャスティン・ビーバーです。ジャスティン・ビーバーが「I dream in #mycalvins(私はカルバンで夢を見る)」と写真付きで投稿したところ、あっという間に多くのユーザーに拡散され、大きな反響につながりました。
参考:calvinklein/YouTube