リスティング広告でランディングページへの訪問者が増えるのはとても喜ばしいことです。
しかし
訪問者が増えたからといって、必ずしもコンバージョンにつながるとは限りません。
コンバージョンが起きなければ、ROAS(広告費用対効果)は健全にはなりません。
ROASがマイナスということは、稼ぐよりも出費が多いということで、喜ぶどころではありません。
お金をかけて参加するリスティング広告の世界では、広告に投資するのはコンバージョンへの第一歩にすぎないのです。
広告はトラフィックをもたらします。
でも、その後、ここからが本当のリスティング広告運用の始まりです。
それがコンバージョン率最適化(CRO)です。
そもそもリスティング広告とは?
リスティング広告とは?
仕組み・メリット、運用方法や費用を徹底解説
CVR(コンバージョン率)とは?
コンバージョン率(CVR)は、マーケティングの指標の一つで、広告をクリックしたユーザーがどれだけコンバージョンしているかの割合を示します。
コンバージョンとは、ユーザーがページ上で、あなたが定義されたアクションを実行することを指します。
例えば
・アカウントの作成
・商品の購入
・資料のダウンロード
・アプリをダウンロード
などが該当します。
CVRはパーセンテージで表され、数値が高いほどコンバージョン率が良いことを意味します。
そしてCVRを改善・最適化する施策を、「CRO:Conversion Rate Optimization」と呼びます。
リスティング広告の世界にはさまざまなアルファベット3文字の略語があふれていますが、その中でもCRO(コンバージョン率最適化)は「最重要」です。
なぜなら広告がクリックされなければ、それはそれで悪いことですが、お金を失うわけではありません。
無駄にするのは運用した時間と少し傷つくプライドだけです。
しかし広告がクリックされているにもかかわらず、その後の展開がひどければ
お金をかけただけで何も得られません。
CRO(コンバージョン率最適化)とはあなたのサービスや商品を最大限に魅力的に見せ、トラフィックのうちコンバージョン(成果)につながる割合を増やすことです。
CVR(コンバージョン率)の計算方法
CVR(%) = (コンバージョン数 ÷ クリック数) × 100
業界別の平均コンバージョン率
業界 |
リスティング広告 |
ディスプレイ広告 |
マッチング・出会い系 |
9.64% |
3.34% |
法律 |
6.98% |
1.84% |
BtoCサービス |
6.64% |
0.98% |
自動車 |
6.03% |
1.19% |
人材サービス |
5.13% |
1.57% |
金融・保険 |
5.10% |
1.19% |
旅行・観光 |
3.55% |
0.51% |
教育 |
3.39% |
0.50% |
産業サービス |
3.37% |
0.94% |
健康・医療 |
3.36% |
0.82% |
BtoBサービス |
3.04% |
0.80% |
テクノロジー |
2.92% |
0.86% |
Eコマース |
2.81% |
0.59% |
家庭用品 |
2.70% |
0.43% |
不動産 |
2.47% |
0.80% |
利益団体(労働組合、経済団体など) |
1.96% |
1.00% |
出典:
WordStream社2024年
この表はWordStream社のデータです。
日本とは。そもそもの業界の構造自体が違うため、数値として実態を現していないかもしれません。
リスティング広告広告の平均コンバージョン率は、業界や商材によって大きく異なります。
例えば、アルパカの1日レンタルサービスのような非常にニッチな業界の平均コンバージョン率は驚くほど高いかもしれません。
一方、家電販売業界では競争が激しく、ひどく低い数値になることもあります。
そもそも何をコンバージョンとするのか(商品購入なのか、会員登録なのか)によってCVR(コンバージョン率)の定義も異なってきます。
実際は平均値はあまり重要ではない
「平均コンバージョン率は全く意味がない。平均をとればスイスだって平坦になる。」
と言う人もいます。
サイト全体や複数のキャンペーンをまとめて平均コンバージョン率を出すだけでは、ページや施策ごとの大きな違いが見えなくなり
成功要因や失敗要因を正確につかめません。
実際には
「平均コンバージョン率」という指標はあなたのビジネスの実情を示しているわけではありません。
重要なのは、現在のコンバージョン率がどうであれ、収益が出ており、採算が取れているかということです。
競合他社とのコンバージョン率を比較したくなる気持ちはわかりますが、平均値に囚われすぎる必要はありません。
CVR(コンバージョン率)が低い原因:入力フォームの問題
フォームを設計するときは、ページ上のユーザー心理を考慮してみてください。
多くのユーザーはめんどくさいことが嫌いです。
そのためこんなテクニックを聞いたことがありませんか?
「入力フォームの項目数(フィールド数)を少なくし、本当に必要な項目のみを残す」
確かに、これによりユーザーの負担は軽減され、一見すると理にかなっているように思えます。
しかし実際のところ、興味があってアクセスしてきたユーザーは、
ほとんどの場合あなたのことを十分に信用していません。
フォームに電話番号を入力すれば迷惑な営業電話がかかってくる、メールアドレスを入力すればメールマガジンが配信されるといった不安があります。
ユーザーの本来の目的は、リード情報を渡さずに匿名で資料をダウンロードしたり、競合他社との比較検討を行いたいのです。
ここで問題となるのは、
いらない項目(会社名、部署名、予算など)を次々と削除していくと、結果的にユーザーが最も恐れる「名前」「メールアドレス」「電話番号」といった項目だけが残ってしまう点です。
ユーザーにとって抵抗感のあるフィールドが際立ってしまいます。
フォームの入力項目を減らすことが逆効果になる理由
- ・ユーザーは競合他社とを匿名で比較検討したいのに、いきなり個人情報を求められると敬遠する。
- ・ユーザーは忙しいため、リスティング広告経由で訪れた際に、多くの会社から連絡が来るフォームを何度も埋めたくないと感じる。
- ・ユーザーは基本的に面倒を避けたがるため、迅速な回答を求める傾向がある。
ではユーザーにこれらの情報を自主的に提供してもらい、なおかつ高いコンバージョン率を実現するにはどうすればよいのでしょうか?
答えはシンプルです。
入力項目やステップをむしろ増やすのです。
一般的なアドバイスとは正反対の方法です。
ただし単に項目数を増やせば良いというわけではなく、その順序や構成が非常に重要になります。
目指すべきは、ユーザーが答えやすい簡単な質問を最初のステップに配置し、いわゆる「マイクロコンバージョン」を積み重ねることです。
できる限り手間がかからず、さっと答えられる質問から始めることで、心理学のフット・イン・ザ・ドア(FITD)テクニックで、ユーザーの心理的ハードルを下げ、結果として最終的な情報提供へと導くことができます。
ただしすべてのフォームにこの方法が有効というわけではありません。
要求が大きい無料相談や見積もり依頼、無料デモ体験の場合には効果的ですが、無料の資料請求やウェビナーなど、比較的ハードルが低いオファーではあまり効果が見込めないケースもあります。
入力フォームの例
入力フォームの例
-
・離婚問題に強い弁護士が「無料相談」予約を増やしたい場合:
まず「結婚年数」や「子供の人数」など、答えやすい質問のフォームを最初に配置する
-
・インテリアデザイナーが「見積もり依頼」を増やしたい場合:
まず「家の広さはどのくらいか」「部屋数は何部屋か」という質問を最初に設置
-
・トレーニングジムが「無料見学」を増やしたい場合:
まず「運動経験の有無」「どこの部分を鍛えたいか」「ダイエット目的か筋肥大目的か」という選択肢を最初に設置
これらの小さな質問をランディングページのCTAの部分で入力できるようにしてください。
CVR(コンバージョン率)が低い原因:広告文の問題
広告文の内容とがユーザーの求める情報と一致しない場合、クリック率やその後のコンバージョンに悪影響を及ぼします。
ユーザーは自分が検索したキーワードに沿った内容を期待しており、広告文やランディングページの見出しが一致していなければ、「自分にとって有益な情報ではない」と判断してしまうでしょう。
こうした不一致は、Googleがリスティング広告の品質スコアを下げる要因にもなり、結果として広告の掲載順位が下がり、コンバージョン率の低下につながります。
ここからは、広告文とリスティング広告のキーワードを一致させることの重要性について詳しく見ていきます。
品質スコアについてはこちら
Google広告の広告ランクと品質スコアを徹底解説!
リスティング広告の広告見出しとLPの見出しを一致させる

リスティング広告の広告見出しとランディングページ(LP)の見出しに書く文章を同じにするとGoogleのPPC品質スコアも向上します。
整合性が高いほど、Googleはその広告をより関連性が高いと判断します。
CVR(コンバージョン率)が低い原因: LPの問題
ランディングページ(LP)は、その構成やデザインに不備があると、広告文やキーワードが適切でもコンバージョン率を大きく下げてしまいます。
LPは訪問者を顧客に変換するための最終的な受け皿として非常に重要です。
しかしLPの内容がユーザーの期待にそっていなければ、クリック後の離脱や再訪問の減少につながり、結果として問い合わせや購入といった成果が得られません。
ここではLP改善に向けた具体的な施策として、レイアウト、画像、そして動画の最適化のポイントについて詳しく説明していきます。
レイアウトをヒートマップに合わせて変更
基本的には、情報量が多くテキストが中心のLPでは、F字型パターンレイアウトが効果的です。
ユーザーはページの左上から順に視線を移動し、主要な情報を自然に捉えます。
一方、画像やビジュアルが豊富でシンプルなLPでは、Z字型パターンが適しています。
ページ全体を斜めに見渡す形で情報が伝わるからです。
これらのパターンを理解することは、ユーザーの視線誘導を正確に把握し、最も効果的な情報配置する上で不可欠です。
もしLPのどの部分にユーザーが注目しているのか不明瞭な場合は、ヒートマップ解析ツールを活用して実際の視線データを収集してください。
ヒートマップの結果に基づいて、ファーストビューにおける主要情報やCTAボタンの配置を再検討すれば、ユーザーの視認性を向上させ、次のアクションへの導線を最適化できます。
これにより、LP全体のレイアウトがユーザーの行動に密接にフィットし、コンバージョン率の改善に直結します。
画像の最適化
ランディングページ(LP)上の画像は、単なる装飾ではなく、ユーザーが情報を視覚的に補足するための重要な要素です。
画像は、製品やサービスの特徴を直感的に伝える手段として活用され、ユーザーが文章だけでは得られない具体的なイメージを形成するのに役立ちます。
ここで重要なのは、既製品のストックフォトではなく、企業独自のオリジナル画像を使用する点です。
オリジナル画像はブランドの独自性を強調し、訪問者に「ここなら自分に合った情報が得られる」と感じさせる効果があります。
また、画像の解像度やサイズを適切に最適化すれば、ページの読み込み速度を維持しつつ、ユーザーの閲覧体験を向上させられます。
さらに、画像に適切なキャプションや説明文を加えれば、伝えたいメッセージを明確にし、テキスト情報と連携してLP全体の説得力を高められ有益です。
またリスティング広告には画像アセット(画像表示オプション)を設定して、LPに合わせるのも大切です。
画像アセット(画像表示オプション)とは
リスティング広告における画像アセット(画像表示オプション)完全ガイド
動画の最適化
人によって学習スタイルはさまざまです。文章で理解しやすい人もいれば、映像で理解しやすい人もいます。
どちらか一方だけに偏ると、見込み顧客の一部にしか適切に情報を届けられません。
とはいえ、「文章型の人」が映像をまったく役に立たないと思うわけでも、「映像型の人」がテキストをまったく見ないわけでもありません。
両方があれば、お互いを補い合い、より深い理解を得られるのです。
また「シェアされやすさ」について触れないわけにはいきません。
動画はよくシェアされます。
ランディングページの動画にシェアボタンを用意し、視聴者が簡単に共有できるようにしておけば、動画のエンゲージメントがさらに高まる可能性があります。
動画コンテンツの最適化ポイント
-
・自動再生は使用しない
ユーザーに嫌われやすいため、自動再生は避けるべきです
-
・動画には必ず字幕を提供する
オフィス内では無音で再生するユーザーがとても多いからです
-
・動画はLPの上部(ファーストビュー)に設置
厳密には「絶対にファーストビューでなければいけない」とは限りませんが、一般的に言われるベストプラクティスです
ファーストビュー内のコンテンツは多くのユーザーが目にするため、最も重要な要素をすぐに見せるのが定石です
-
・サービス紹介の長さは45~90秒程度に抑える
長すぎる動画はユーザーを退屈させて、離脱してしまいます
-
・ただし専門的な内容の動画は長くてもいい
業界の専門知識を求めているユーザーもいます
それでも5分~25分以内が適切です
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・最初の3秒間が特に重要
Puresive Filmsによると、動画の冒頭3秒を視聴したユーザーの65%が少なくとも10秒間、45%が30秒間視聴を続ける
-
・カスタムサムネイルは必須
動画を再生するかどうか決める大きな要素です
-
・ランディングページに載せる動画は1本に絞る
ランディングページでは「やりすぎは禁物」
テキストがあまりに長いと、ヒートマップで見ても最後まで読まれないように、動画もたくさん置けば良いというわけではありません - ・売り込みより、教えることを重視する
誰もが広告感丸出しのつまらない動画を見たいわけではありません。役立つ情報を共有する姿勢で臨めば、人は進んで耳を傾けてくれます
押し売りではなく、本音で価値ある情報を伝えましょう
コンバージョン率最適化(CRO)を無視すると、広告費を払ってランディングページに誘導しても、そのページが魅力的ではないとユーザーはただ去っていくだけです。
優れた広告やSEOで訪問者を呼び込み、それを活かして素晴らしいコンバージョン率最適化(CRO)の手腕を発揮し、「この商品が欲しい」と思わせるのが理想です。