過度に頻繁な調整は、学習データが十分に反映される前に新たな変更を加えてしまうことになり、アカウントを混乱させる要因となります。
そこで「いかに機械学習に上手に学習させられるか」という最新の考えに従った、運用方法を解説します。
なかなか成果が出ない方はぜひ参考にしてください。
【タイムライン別】Googleリスティング広告運用方法
リスティング広告の最適化は、タイムラインに応じた戦略的運用が重要です。
本記事では
「一度だけ」「毎日」「毎週~隔週」「月に一度」とタイムラインに沿って、それぞれの最適な運用方法を解説します。
一度だけでOK! リスティング広告最適化
リスティング広告では、一度設定すればアカウントの健全性に効果を発揮する施策があります。
最初に設定するだけで、その後の運用効率を大きく向上させられます。
労力に対する費用対効果が非常に高い施策といえます。
RLSA(検索広告向けリマーケティングリスト)で特定のユーザー層をターゲティングする
RLSA(Remarketing Lists for Search Ads)とは、Googleの検索キャンペーンにリマーケティングリストを追加し、特定のオーディエンスをターゲットに絞り込む機能です。
多くの広告担当者は、「リマーケティング(またはリターゲティング)はディスプレイ広告といったディスプレイキャンペーン専用」と思い込んでいるかもしれません。
しかし検索キャンペーンにリマーケティングリストを組み合わせると、
自社サイトをすでに訪れたことのあるユーザーだけにリスティング広告を表示できるため、無駄のないターゲティングが可能になります。
これにより、キーワードの選定をより柔軟に行うことができます。
「完全一致以外のキーワードでは無駄クリックが怖い」と感じたことはありませんか?
あるいは、幅広いキーワードマッチで運用してみたら、無関係な検索ワードが多すぎて費用を無駄にした経験はないでしょうか?
しかしRLSAを利用すれば、Googleに対して「サイトを訪れたことがあるユーザーだけに広告を表示する」と指示を出せるため、対象ユーザーの購入意欲がより高まります。
ただし、Google広告を最適化する際に考慮すべきなのは、サードパーティCookieの廃止による影響です。
これは、従来のようにリマーケティング施策を簡単に行えなくなる可能性があるためです。
プライバシー環境の変化が広告成果に及ぼす影響を最小限に抑えるには、ファーストパーティデータを活用してGoogle広告アカウント内にRLSAを構築することが効果的です。
ファーストパーティデータの主な取得先
- サイトのフォーム入力
- CRMシステム(顧客管理システム)
- メールマガジンの登録情報
- SNS経由のユーザー
RLSAを効果的に活用するためのベストプラクティス
キャンペーン改善のポイント
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・リスト規模を大きくする
検索キャンペーンのターゲティングには最低でも1000人のユーザーが必要ですが、実際には5000~10000人以上いると成果が出やすくなります。
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・既存のキャンペーンをコピーしてRLSAをテストする
RLSAは既存キャンペーンと同時並行でテストすべきです。
現在パフォーマンスが良いキャンペーンを複製し、それをRLSA向けに調整してGoogle広告アカウントで並行運用しましょう。
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・オーディエンスシグナルを活用する
オーディエンスシグナルを使い、Googleのアルゴリズムが自動的にセグメントを最適化できるようにします。
Googleの自動入札戦略が改善されているため、RLSA以外のキャンペーンからリマーケティングリストを除外する必要性は以前ほど高くありません。
検索パートナーをオフにしてみる
業種によってはランディングページが優れていても、クリックボットなどからの質の悪いリードが発生してしまうことがあります。
もしリスティング広告の成果が芳しくなく、クリックボットからのリードが頻繁に届いているようなら、すぐにすべてを停止してしまう前に、まずは検索パートナーの成果を個別に分析してみてください。
一部のキャンペーンでは検索パートナー経由の追加リーチが成果につながる一方、別のキャンペーンでは全く貢献していない可能性があります。
ターゲティングの見直しや入札戦略の見直しを行ったにもかかわらず、成果に問題がある場合は、検索パートナーの設定を改めて見直すことが重要です。
キャンペーン個別ページで「設定」をクリックします。
「設定」タブを開いたら、「ネットワーク」の項目にある、「検索ネットワーク」を切り替えます。
その後もパフォーマンス指標を定期的に確認しながら、キャンペーンの状況に応じて柔軟に調整を行いましょう。
毎日行うべきリスティング広告施策
毎日大幅な変更を加えるといった必要はありません。
ただリスティング広告を運用する際は毎日Google広告にアクセスして次の点を確認してください。
異常な変動の有無を確認
パフォーマンスの変動が10~15%程度変動するのは問題ありません。
しかし例えばあるキーワードの費用が1000円から急激に10万円に跳ね上がる場合、明らかに異常な変動です。
逆の場合も同様です。
このような異常な変化や設定ミスがないかを常にチェックし、設定や入札単価などを迅速に調整して問題を解決しましょう。
予算の進捗を監視
予算の消化ペースの監視は、広告運用効果を最大化するために非常に重要です。
自分たちが設定した予算内で計画通りに使われているかを定期的に確認する必要があります。
1日の予算の大まかな見積もりを計算するには、
最大入札額 × 目標クリック数だけです。
クリックあたり500円 × 40クリック = 1日の支出額2万円
これを週ごと、月ごとに推定すると、月ごとの広告予算が算出されます。
予算の消化ペースを定期的に確認し、アカウントが設定した予算を超えて消費しないように管理することが重要です。
広告の不承認アラートを確認し、素早く対応
最も避けたい状況の一つが、気づかないうちに広告や広告表示オプションの30%が1週間以上も不承認のままになっていることです。
不承認の通知がメールで届いていないかを定期的にチェックしたり、Google広告の管理画面で「不承認の広告」というフィルターを使って迅速に問題を見つけたりしましょう。
「キャンペーン > 広告」から「フィルターを追加」をクリックし、
「属性 > ポリシーの承認状況」を選択し、「不承認」のフィルターを追加する。
また、サイトリンクなどの広告表示オプションについては、不承認になっても通知が届かないため、忘れずに定期的なチェックが必要です。
入札・入札戦略の確認
手動入札や拡張クリック単価(eCPC)を利用している場合、各キーワードの実際の入札単価が「推定入札単価(1ページ目)」より大きく下回っていないか確認する必要があります。
さらに自動ルールを活用して毎日入札価格を調整する設定を検討すれば、常に最適な状態を維持しやすくなります。
ただし毎回手動でチェックするよりも、
自動化ルールを設定して、自動的に入札単価を「推定入札単価(1ページ目)」額までに引き上げる自動ルールにする方法が効果的です。
一方でスマート自動入札を使用している場合は、予算消化のペースが速すぎたり、逆にデータ不足で広告が十分に表示されなかったりといった問題に注意しましょう。
スマート自動入札の成果を1日単位で完全に評価することは難しいですが、学習期間中にアカウント全体の成果が大きく悪化していないかを定期的に確認し、必要に応じて対応することが重要です。
毎週~隔週に一度のリスティング広告最適化
毎週、または隔週でのリスティング広告最適化は、より大きな成果を狙った調整です。
これらの調整を毎週行うか、隔週で行うかは、その施策の複雑さや、施策の効果を評価するために必要なデータが集まるスピード次第です。
もし1週間後に振り返って、施策の効果が徐々に現れつつあるものの、確かな判断をするのにさらなる時間が必要な場合は、隔週で実施するのがよいでしょう。
検索語句レポートをチェックし、キーワードの見直し
除外キーワードで無駄な検索語句を排除する
広告を表示させたくない語句を定期的に除外する作業は、Google広告運用において欠かせません。
なぜなら設定しているキーワードは、ときに意図と異なる検索語句を拾ってしまうことがあるからです。
インテントマッチのキーワードはこうした傾向が強いですが、フレーズ一致や完全一致であっても、意図しない検索語句に広告が表示されることがあります。
特に完全一致は2021年以前はその名の通り「設定したキーワードと完全に一致した検索語句」のみ表示される仕組みでしたが、
ここ最近、特に2024年頃から
「検索意図が同じであれば広告を表示する」という仕様に変更しています。
それにより、除外キーワードの設定の重要性が高まっています。
除外キーワードを適切に設定することで、広告の関連性が向上し、意図しないクリックへの無駄な支出を防ぐことができます。
幸いGoogleのアップデートで誤字脱字に関してはかなり高い精度でAIがブロックしてくれるようになりました。
ただし、あまりに細かく最適化しすぎると、キリがありません。
2週間分の検索語句を徹底的に調べようとすれば、多くの時間を消費してしまいます。
そのため、クリックが発生している検索語句や、表示回数が特に多い検索語句に絞り、関連性の低い語句が含まれていないかを確認しましょう。
Google広告のフィルター機能を使い
「クリック数が1回以上」または
「表示回数が100回以上」の検索語句だけを表示するよう設定すると、より効率よく作業を進めることができます。
キーワードリストの見直し・拡大
かつてはあなたのキャンペーンを支える主力だったキーワードも、ずっとそのまま活躍できるとは限りません。
どれほど自信をもってキーワードを設定したとしても、結局重要なのは実際のデータです。
一定期間広告運用を続けた後には、キーワードを見直し、調整を行う必要があります。
まずは現在使用中のすべてのキーワードを確認し、データに基づいて精査しましょう。
キーワードに固執してはいけません。
意外かもしれませんが、多くの広告担当者が、成果が出ていないキーワードを放置しがちです。
その理由として
競合が同じキーワードを使用しているため、自分たちもその領域を譲りたくない
自分が選んだキーワードこそが最も関連性が高く、いずれ成果が出るはずだと思い込んでいる
といったことが挙げられます。
しかしデータを重視し、成果が出ていないキーワードは一旦停止してみましょう。
定期的に検索語句レポートを確認し、成果につながる新しいキーワードを追加するのも有効です。
キーワード選定に感情的にならず、パフォーマンスを最優先にしてリストを管理することが、リスティング広告で長期的にROIを高める秘訣です。
入札単価調整
地域、デバイス、オーディエンスのデータを確認し、入札単価調整によって効果が高まりそうなセグメントを見つけましょう。
また、無駄が多い領域にはマイナス調整を加えます。
ただし、複数の調整を一度に行うのではなく、別々のタイミングで実施し、各調整の影響を正確に把握できるようにしましょう。
月に1度のGoogle広告最適化
月単位で行うGoogle広告の最適化施策は、成果が現れるまでにある程度の時間を要するため、日次や週次で行う施策よりも規模が大きく、効果検証に時間がかかる傾向があります。
新しい広告のテスト&既存広告の成果判定
新しい広告を導入する際、短期間では成果を正確に評価できません。
新規広告を投入したら、まずは2週間~1カ月運用し、その後に成果を比較・評価しましょう。
Google広告は既存の広告を優先的に表示する傾向があります。
そのため新しい広告成果を正確に評価するには十分なテスト期間が必要です。
1ヶ月程度のテスト期間を設ければ、CTRやCVRなどのデータを十分に収集し、統計的に有意な結果を得られます。
広告文のタイトル、説明文、CTA(行動喚起)などをどの要素がパフォーマンスに影響を与えるかを検証します。
地域別戦略の見直し
成果が出ている地域には予算を増やし、成果が芳しくない地域には予算を削減または停止しましょう。
もしあなたが複数の地域に広告を配信している場合、すべての地域で同じような成果が得られるとは限りません。
広告を出したい地域だからという理由や、単純にターゲット範囲を広げたいという理由だけで、成果が出ていない地域をそのままにしておくのは良い選択とは言えません。
成果を分析して、実際にコンバージョンにつながっている地域に予算を集中的に割り当てるのが重要です。
Google広告の「地域」タブでは、地域別・キャンペーン別にパフォーマンスを細かく分析できます。
「地域」タブから各地域に対してプラス(引き上げ)やマイナス(引き下げ)の入札調整を設定できます。
パフォーマンスが低い地域があれば、配信停止もしくは大幅に予算を削減するのを推奨します。
また最もパフォーマンスが高い地域を個別キャンペーンに分け、集中的に予算を投入しましょう。
配信時間帯の調整
24時間365日広告を表示しているのに、ユーザーがコンバージョンするのが実際には9時~17時にしか発生していないとしたら、深夜に予算を消化する必要はありません。
まずは時間レポートを確認してください。
時間レポートには、時間帯や曜日などに基づいてキャンペーンのパフォーマンスの内訳が表示されます。
確かに、スマート自動入札を使用している場合、Googleは自動で成果が出やすい時間帯に予算を振り分けます。
Googleのアルゴリズムは以前より改善されていますが、手動入札や1日の特定の時間帯に厳密に支出を制御する必要がある場合には、配信スケジュールを設定するのが有効です。
「オーディエンス、キーワード、コンテンツ > 広告のスケジュール」タブを開く。
編集鉛筆アイコンをクリックし、広告を配信する時間帯を設定します。
ユーザー属性ターゲティングの見直し
当然ながら、ユーザーの世帯収入、性別、年齢などの属性によってパフォーマンスが異なります。
キャンペーンを選択して「オーディエンス」タブに移動します。
「ユーザー属性」で成果が確認できます。
Cookie規制の強化により、以前よりも正確な属性データを取得するのが難しくなっています。
実際、上記のスクリーンショットを見ると、年齢などが特定できない「不明」ユーザーが増加していることが分かります。
おそらく、あなたのキャンペーンでも多くのコンバージョンが属性「不明」から発生しているでしょう。
とはいえ、それでも明確な属性データがあり、特定のユーザー層が明らかに成果を生まず、予算ばかりを消費している場合、該当ユーザー属性にマイナスの入札調整をかけたり、場合によっては除外するなどの対応を検討しましょう。
逆に特定のユーザー属性が良い成果を上げている場合には、プラスの入札調整を適用することでパフォーマンスをさらに改善できます。
成果が出ないキャンペーンの停止、もしくはキャンペーンの複製
リスティング広告のキャンペーン運用では、すべてのキャンペーンが成功するわけではありません。
1.5ヶ月以上継続して成果が上がらないキャンペーンは、思い切って停止することも検討しましょう。
一方で、データ量が少ないキャンペーンでは、Googleの機械学習(ε-グリーディ法アルゴリズム)が十分に機能せず、誤ったコンバージョンに過度の重み付けをしてしまう、「行き詰まり」現象が起こる場合があります。
その場合、キャンペーンを複製(コピー)することにより、再学習させることができます。
これにより、機械学習が再度フラットな状態から学習を開始します。
まとめ
これらの最適化を行ったら、四半期ごとに成果を振り返りましょう。
一生懸命施策を行ったにもかかわらず、期待通りの結果が得られなかった場合は、大規模な調整が必要になるかもしれません。
アカウント構成を全面的に見直したり、予算を別の広告プラットフォームに移動させたりすることも視野に入ります。
四半期末には、じっくりデータを整理し、次の大きな戦略を立案することに集中しましょう。
最適化なくしてGoogleリスティング広告の成長はありません。
また最適化はGoogleリスティング広告の管理画面だけに留まりません。
広告の最適化をいくら完璧に行ったとしても、ランディングページの改善が伴わなければ、成果は十分に得られません。
ランディングページの最適化にも取り組みましょう。
もし時間がかかりすぎたり、自分には向いていないと感じた場合は、専門家に任せることも検討しましょう。
広告代理店の選び方をまとめた記事も書いているので、こちらも読んでみてください。
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