公開日:2024年07月19日 更新日:2024年08月05日
東京都水道局と企業の連携で実現する「みんなでつくる水源の森」とは。
東京都水道局様
貴局の歩みについて教えてください
東京都水道局では、東京独自の水源である多摩川の安定した河川流量の確保と小河内貯水池(奥多摩湖)の保全を図るため、多摩川上流域に広がる森林を水道水源林として120年以上にわたり管理しています。
この水道水源林は、東京都の奥多摩町、山梨県の小菅村、丹波山村及び甲州市に位置し、面積は約25,000haであり、国内の水道事業体が管理する森林では最大規模となっています。
<タイトル「水道水源林と清流」>
これらの広大な森林を適切に管理していくために、当局ではおおむね10年ごとに管理計画を策定し、長い時間の掛かる森林の育成を計画的に行っています。
水道水源林は、水をたくわえる働き、土砂の流出を防ぐ働きなど、きれいな水を安定的にお届けするための重要な役割を担っており、これらの働きが十分に発揮できる森づくりに努めています。
「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)と企業協賛金」について教えてください
東京水道~企業の森(ネーミングライツ)と企業協賛金は、東京都水道局と企業が協働して水道水源林の森づくりを進める取組です。
水道水源林を将来にわたって適切に管理していくためには、計画的な森林整備を進めるとともに、水源地保全の重要性についての理解促進、多様な主体との連携による水源の森づくりへの参加者拡大が重要です。
そのため、当局では将来の水道水源林のために重点的に取り組むべき内容をまとめた「みんなでつくる水源の森実施計画」を平成29年に策定しました。
その計画の中で、東京水道~企業の森(ネーミングライツ)と企業協賛金は、「みんなでつくる水源の森」を目指すため、企業と連携した森づくりの取組として平成29年から行っています。
<タイトル「水道水源林と小河内貯水池」>
明治34年から120年以上にわたって管理している水道水源林を、企業のみなさまとともに、将来に向けた水源の森として育てていく取組にできればと考えています。
近年の情勢として、社会的信頼の獲得、持続的な経営のため、企業のSDGs実現への意識が高まっています。その一方で、企業が一から環境保全に向けた活動を自ら始めることは現実的にハードルが高く、参加型の取組を探している企業が増えています。そのような企業が、当局の行っている取組を見つけ、参画、協賛いただけるケースが多くあります。
全国で官民連携のSDGs実現に向けた動きも見られるようになっている中で、当局では広大な水道水源林を所有しているため、それらを活かした取組となっています。
東京水道~企業の森(ネーミングライツ)のお取り組み内容
<タイトル「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)の活動の様子」>
ネーミングライツの設定による費用を活用して水道水源林の保全育成等を行い、参画いただいた企業のみなさまとともに水源の森づくりを進める取組です。
※現在は、募集上限に達しており、新規企業の募集は行っていません。
参画企業は当局と協定を締結し、ネーミングライツとして水道水源林の一部のエリアに名称を付け、その協定エリアにおいて森林保全作業体験等の活動を行うことができます。
ネーミングライツ費用は、協定エリア1haあたり1年間で50万円(協定エリアは、各社2~3ha)であり、協定の期間は3年間(継続可能) としています。
企業協賛金
<タイトル「特典の一つとなっている水道水源林の木材を使用した記念証」>
水道水源林の保全の趣旨に賛同していただける企業から協賛金をいただき、水源の森づくりを進める取組です 。協賛金は一口10万円で、協賛期間は1年間です。いただいた協賛金は、当局が水道水源林の保全育成等の費用として活用しています。
協賛企業は、協賛期間中、自らの広報媒体を活用して当局の協賛企業であることを広報することができます。また、水道水源林の木材を利用した記念証の贈呈や、水道水源林の当局体験ツアーへの参加など、協賛の特典も用意しています。
「東京水道~企業の森(ネーミングライツ)と企業協賛金」の事例を教えてください
現在、ネーミングライツ参画企業、協賛企業ともに、環境保全、SDGsに対する意識が高い印象です。どちらの取組においても企業の業種は様々であり、業界問わず参加しています。
募集ターゲットも特に定めておらず、取組に興味を持った企業が簡単に参加できることを特徴としています。
<タイトル「企業協賛金の特典の一つである『水道水源林体験ツアー』の様子」>
ネーミングライツ参画企業、協賛企業、それぞれの取組については、水道水源林のポータルサイト「みずふる」で紹介しています。また、当局の広報施設やイベントなどでも協力企業の紹介を行っており、多くの人々に取組内容、協力いただいている企業を知ってもらえるよう発信しています。
企業が行っている広報活動としては、各企業のwebサイト・SNSなどでの発信、サステナビリティレポートでの報告などがあります。
企業のwebサイトでは、水道水源林の特集ページやSDGsの取組ページを作成して、これらの取組内容をPRしている企業もあります。
東京水道~企業の森(ネーミングライツ)、企業協賛金の応募状況はいかがでしょうか?
企業の森(ネーミングライツ)では、募集を開始してから徐々に12枠が埋まり始め、ありがたいことに、現在、募集枠全てが埋まっている状況です。
協定期間は3年となっており継続が可能となっていますが、みなさんご継続いただいています。期間の長い企業だと既に3期目に入っています。
ご継続いただく企業が多い一方、企業の森の取組について興味を持っていただいたものの、枠がないためにお断りしている例もあり、企業のニーズに応えられない悔しさを感じています。そのため、募集枠を増やすことができないか内部で検討を行っているところであります。
しかし、アクセスが悪い・土地が平坦ではないなど、企業の方に提供しても活用しにくい森林も多い現状です。今後、企業との連携事業を拡充し、水道水源林の大切さをさらに多くの方々へ伝えていきたいため、企業の森として活用できる森林の整備や取組内容の見直しを行っていく予定です。
企業協賛金は2024年8月現在、14社の企業にご協賛いただいています。こちらは年間を通して随時募集を行っており、1年ごとの継続が可能となっています。取組の開始から、ありがたいことに協賛いただける企業は徐々に増えており、複数年協賛を継続している企業も多くあります。
ただ、協賛いただく企業は増えていますが、まだ取組の認知度は低いと考えています。
そのため、認知度拡大に繋げるため、当局の広報イベントへの参加や地元のお祭り、また環境保全に関するイベントなどに積極的に参加し、PRの場を設けていきたいと考えています。
今後の展望について教えてください。
平成29年よりこれらの取組を開始し、少しずつではありますが、取組の効果が見られるようになってきています。
例えば、企業の社員さんの声として、「森林保全活動の重要性や水源林の役割を理解することができた」、「水源地保全の意識向上を図ることができた」、「協賛企業として環境保全に貢献でき、企業のイメージアップに繋がっている」など、嬉しい言葉をいただくこともあります。
今後も、これらの取組を通して、水道水源林の認知度、水源の森づくりの参加者の更なる拡大を目指していきたいと考えています。そのためにも、当局が行っている水道水源林での取組を、様々な媒体で積極的に広めていくことが重要となってきます。
また、今回紹介した企業連携の2つの取組内容については、企業のニーズ、取組状況を考慮して、より実情に合った内容となるようアップデートしていく予定です。
きれいな水を安定的に届けられるよう、水道水源林を守り続けていくためには、企業を含めて様々の方々のご理解とご協力が必要不可欠であります。
これからも、将来にわたる水道水源林のため、「みんなでつくる水源の森」を目指していきたいです。
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東京都水道局
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