更新日:2025年09月10日
【サンプリング事例考察】 “面白い”配布アイデアで広告企画をユニークに!――変な家/パナソニックなど
夏休みシーズンも終わり、やっと最高気温が30℃を下回る日も出てきて、徐々にですが秋の気配が漂い始めました。
マーケティングの現場では季節ごとのプロモーションが活発ですが、中でもサンプリングは定番ながら奥深い手法です。
商品を手に取ってもらうことで認知拡大や購買促進を図るサンプリングですが、実は工夫次第で単なる試供品に留まらない大きな話題を生むことがあります。
例えば近年実施されたサンプリング施策の中には、「商品そのもの」だけでなく別のアイテムを組み合わせることで相乗効果を生み出したユニークな事例が登場しています。
今回は広告アイデアのネタ帳として、そんなひと工夫によって話題となったサンプリング事例を3つご紹介します。
■広告のネタ帳とは?
「もうちょっと刺さるアイデアがほしいな……」と思ったとき、世の中の広告を眺めると意外なヒントに出会えるものです。
広告のネタ帳は、そんなときに役立つ『ちょっとした切り口』を広告事例から拾い上げるコラムです。
1. ユニークなサンプリング事例3選
まずは、最近話題になった3つのサンプリング施策をご紹介します。
それぞれ配布したアイテムに注目すると、ただ自社の商品をサンプリングするのではなく、ユニークな工夫がされています。
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ー 事例1: 映画『変な家』×タクシーで体験させる“間取り図サンプリング”
Ⓒ2024「変な家」製作委員会
2024年3月ウェブライターの雨穴氏原作のホラー映画『変な家』の公開に合わせて都内で「“変な”タクシー」が1台だけ出現しました。
タクシーサイネージメディア「GROWTH」を運営する株式会社ニューステクノロジーとのコラボ企画で、走っている姿は映画のキービジュアルであるピンク色にラッピングされていますが外からみれば一般的なタクシーです。
しかし乗車をするとタクシーサイネージからは予告映像だけでなく、タッチパネルを操作し自分に合った変わった間取りがわかる「変な家」診断を体験できます。
そして目的地到着後は、タクシー運転手から映画オリジナルティッシュと「家の間取り図」が手渡されるといったサンプリング施策が行われました。
Ⓒ2024「変な家」製作委員会
独自性
この映画のあらすじは、主人公が中古一軒家の間取り図に描かれている間取りに違和感を覚えたことから物語が始まります。
そしてこの施策の独自性は、映画のキーアイテムである間取り図そのものをサンプリングした点にあります。
一般的な映画の宣伝の場合ポスターやクリアファイルといった作品の情報や世界観を伝えるものを配るところですが、今回は映画の鍵となる間取り図を配布しました。
映画に全く関心がなかった人でも「あなたには、この間取り図の異常さがわかりますか?」とティッシュに書かれ、実際に間取り図を渡されると、ついついミステリーの謎解きを楽しむかのように間取り図に見入ってしまいます。
考察
間取り図をオリジナルティッシュと共に配布する仕掛けは、映画の核心テーマを体験させる点で独自性が高いが200枚限定ということもあり、リーチ数は限られています。
もともとWEBメディアの連載から人気に火がついたコンテンツのため、映画のプロモーションはSNSを介したものが中心でしたが、タクシーサンプリングはオフラインの熱量を維持する点で大きな役割を果たしました。
ホラー・ミステリー作品の楽しさは、フィクションと分かっていながらも、深夜にふと思い出し、背筋が寒くなるような日常への侵食にあります。
間取り図を手に取った人も同じように、映画の出来事が自分の生活圏に入り込んでくるちょっとした不気味さを味わえるのがこのサンプリングの面白さとも言えます。
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ー 事例2: ZONe ENERGY×赤シートでしか見えない“応援メッセージサンプリング”
2022年の冬、サントリーのエナジードリンク「ZONe ENERGY」が、受験生向けに今までにない広告キャンペーンを展開しました。場所は予備校が集まるターミナル駅である渋谷駅と池袋駅です。
時期は大学共通テスト(旧:センター試験)まで約1ヶ月という12月のタイミングで、追い込み時期の受験生に向けて「ZONe ENERGY」と暗記用の赤シートをセットでサンプリング。
合計4,000枚の赤シートと、5,800本のドリンクが配られました。
さらに駅のデジタルサイネージにはグリッチノイズ状の広告を掲出。肉眼では内容が一切分からない広告です。.......
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