公開日:2024年06月25日 更新日:2024年07月25日
環境配慮型デジタル広告「DNP GreenAD」とは|大日本印刷株式会社
大日本印刷株式会社
出版イノベーション事業部 ビジネスクリエイション本部
AD事業推進部 企画・販促課
石黒将大様(右)
出版イノベーション事業部 ビジネスクリエイション本部
AD事業推進部 事業開発課
福田有香様(左)
目次
大日本印刷株式会社について教えてください
現在までの歩みについて
大日本印刷株式会社 出版イノベーション事業部 ビジネスクリエイション本部 AD事業推進部では、出版社が運営する、雑誌メディアが持つブランド力を活かした優良なウェブサイトを中心に、安心・安全にデジタル広告取引を行うことができる「DNP Marketplace」という事業を展開しています。同事業内でDNP独自の広告配信サービスを提供しています。DNPグループで運営するハイブリッド型総合書店「honto」の書籍分類に基づく興味関心データを特長とする「DNP BookAD」というDSP広告サービスの提供を開始し、それを軸にしたデジタル広告サービスを展開しています。今回ご紹介する「DNP GreenAD」は、デジタル広告におけるCO2排出の課題が起点となって、2023年に開発したサービスです。デジタル広告は、リアルタイムかつ自動でインターネット上の広告枠を買い付けて表示するプログラマティック広告が主流で、その通信過程でたくさんのCO2が排出されています。本サービスではデジタル広告におけるCO2の排出量実質ゼロを支援します。
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担当業務について
「DNP MarketPlace」を展開する当部は、新規サービスの開発と品質管理を実施する「事業開発課」、デジタル広告を起点としてメディアプランニングを実行する「企画・販促課」の2部門からから成り立っています。福田は事業開発課にて、本日ご紹介する「DNP GreenAD」の開発と品質管理を担当し、石黒は企画・販促課にてメディアプランニングを中心に統合型戦略立案と運用を担当しながら、当部門の社内外リードを獲得していくためのブランディング・マーケティング活動も担当しています。
サービスの特徴について
業界・業種問わず、50社以上の企業様に対して、デジタル広告を中心としたWEBプロモーションの支援をしております。「DNP GreenAD」において、広告主へのサービス提供を拡大するとともに、広告代理店や媒体社なども含めたさまざまなプレーヤーと協力し、デジタル広告のサプライチェーン全体でカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進、環境に配慮した持続可能な広告活動を実現します。具体的には広告配信の過程で発生するCO2を電気量や通信量から可視化し、CO2排出の少ないドメインのウェブサイトに対して広告配信を行うなど、広告成果を追い求めながらCO2排出削減に貢献することができます。
どのような点で苦労しましたか
世界的な脱炭素社会に向けた意識の高まりから、国内でも、GX推進法の成立や、株式市場の再編、炭素賦課金の導入見込みなどを受けて、各企業様でCO2排出ゼロを目指す様々な活動が実施されています。しかしながら、デジタル広告のCO2排出のようなScope3領域の活動については、Scope1・2領域と比較して施策のプライオリティが高くない場合も多く、またデジタル広告では広告指標(クリック率や獲得単価など)を最重要視する企業が多いため、取り組みの推進についてなかなか共感を得にくい点で苦労しています 。
「Scope」とは
どのような解決策を実施しましたか
導入していただくことによるScope3領域でのCO2削減という「機能的価値」と、企業プレゼンスの向上等の「情緒的価値」について整理し、その相関関係を定量的に示せるデータを準備・検討中です。環境活動にも寄与できる広告活動は、目先の売上だけではなく、企業の評価・価値を高めることができるため、企業の利益拡大に繋がるということを示していければと考えています。アメリカの広告業界誌「アドウィーク」で、スーパーボウル開催期間中に展開された広告のCO2排出量の概算を掲載するなど、海外の広告業界では脱炭素に向けた活動に取り組むことの意味的価値・情緒的価値が既に根付き始めています。
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貴社サービスを実施した企業様の事例を教えてください
実施した企業様のについて教えてください
導入いただいた消費財メーカーA社は、提供する製品の容器といった使用後の廃棄物について、環境配慮の観点から課題を感じていました。環境意識の高い生活者に「自社を選んでもらう理由」を創り出すためには、製品そのもののプロモーションの他に、企業がいかに地球環境に配慮した活動に取り組んでいるかを広く認知させる戦略も必要であり、同業界内で様々な取り組みが展開されている状態でした。
その施策を実施した背景について教えてください
A社では「生活者が自社製品の空容器を店頭の回収ボックスに入れることで、エコポイントを付与し、エコグッズなどと交換できる」という主旨のソーシャルグッドなプログラムを推進していたのですが、その活動の認知拡大に向けて当初想定していた宣伝物の候補が紙のチラシやDMなどでした。廃棄物を減らしたい、という思いから始まった取り組みで、更なる廃棄物を生むことに矛盾を感じ、認知活動に難儀していた際に、弊社の営業を通じてこのソリューションをご紹介しました。環境負荷を抑えながら宣伝活動ができるという点に興味を持ってもらったことで採用いただきました。
実施した内容について教えてください。
大きく2つのフェーズに分けて取り組みました。第1フェーズが「通常の広告配信」、第2フェーズが「環境に配慮した配信設定での広告配信」で、それぞれ1週間ずつ配信を行い、フェーズごとの広告配信結果を比較しました。「環境に配慮した活動を、環境に配慮した方法で認知拡大していく」というA社の目的に向けて、評価指標としてクリック率とCO2削減率の2点を設定して配信を実施しました。
実施した結果について教えてください
クリック率やCO2排出量などの数値としての効果は、想定よりも良好な結果が出ました。A社からも高い評価を受け、今後も引き続き取り組みを実施していきたいとコメントをいただきました。また、新たな要望や課題を得ることもできたため、サービス改善の検討を引き続き行っております。
今後の展望について教えてください
「マーケティング・プロモーションにおける苦労・解決に向けた取り組み」にも記載しましたが、Scope3領域であるデジタル広告取引における脱炭素社会に向けた活動は、企業としての評価・価値が高まるだけでなく、財務領域への好影響に繋がる可能性も示していきたいと考えています。これにより、マーケティング部門・CSR部門などの垣根を越えて、企業活動すべてのデファクトスダンダートとして据えられるように、サービス価値向上と発信を継続して実施したいと考えています。